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外にはもう二人はいなくて、靴を履き替え教員室へ向かう。
ドアを開けると殺せんせーが作業をしていた。
『失礼します、殺せんせー』
「成瀬さん。
課題ですか？」
『はい。遅くなってしまってすみません。
それと、他の人の分もいくつか預かってきました』
お願いしますとノートを渡す。
シュバっと瞬く間に採点を終えた先生は、そのノートを私に返却した。
私は先生からの評価を確認して、ページをめくる。
『あ、やっぱりペナルティ書かれてる』
「ボーナスって言ってください!!」
成瀬さんも渚君も…とグチグチ文句を言う先生ははっきり言ってめんどくさい。
だけどそれを馬鹿正直に口に出せばもっとめんどくさいことになるのは分かりきっているから口を閉じる。
採点もしてもらったし、教室に戻ろうと踵を返しかけた時、殺せんせーが思い出したように言った。
「そうだ、成瀬さん。
先生は決して教え子に手を出した訳じゃありませんから！
あくまで生徒と真剣に向き合う為にやっただけてあって！
決してやましいことなどなにも…」
『いや必死すぎじゃない？』
分かってますよそれくらい。
そう笑うけど、先生は絶対に変な噂をばら撒かないで下さいと必死の形相で頼み込んできた。
世間体を気にするのはどうやら本当らしい。
『バラしませんよ、先生国家機密なのに。
うっかり口が滑ったとして、E組の皆かな？』
「成瀬さん…
先生を揶揄うのもいい加減にしてくださいよ…？」
怒る時は先生も本気で怒りますからね、と軽く脅された。
ド怒りの時の殺せんせーを思い出して、いや笑えないんだけどと苦笑してしまう。
『まぁ杉野君が笑い話にするかもしれませんけどね。
その時は私のせいじゃないので知りません』
「にゅや、厳しい」
ポリポリと顔の横をかく先生に、なんとなく言ってみた。
殺せんせーを見てて思い出すのは、優しくて元気いっぱいで可愛くて、たった二週間ぽっちの付き合いだったけど、本当に大好きだったあの先生のこと。
『…＿先生の初恋って、どんなのでした？』
「はい？」
『いや、なんでもないです。
そろそろ教室戻ります。
殺せんせー、また後で』
「はい、また後で」
にこ、と笑った先生に頭を下げて教員室を出る。
初恋がどんなのでしたかなんて、らしくもないことを訊いてしまった。
放課後とか、イジられるかな。
皆の前で言われたら超絶はずい。
どうやって誤魔化そうか。
そんなことを考えながら、教室へ続く短い廊下を歩いた。
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紅奈虹夢＠虹茶(プロフ) - とっても面白いです！ (12月26日 11時) (
レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - みの字さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません💦そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2022年11月29日 14時) (レス) id: 720e88b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
みの字(プロフ) - とても読み応えがあってすごく面白いです！！BIGLOVE... (2022年9月3日 15時) (レス) id: e0f77146da (このIDを非表示/違反報告)
リース(プロフ) - そうなんですね！楽しみに待ってます！ (2021年4月28日 19時) (レス) id: 6559b789f7 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - リースさん» そう言って頂けて嬉しいです！大変申し訳ありません、続編は修正が完了していない為パスワードを掛けさせて頂いております。修正が完了次第公開しますので、今しばらくお待ちください。 (2021年4月27日 19時) (レス) id: f9e6e07d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘茶 | 作成日時：2018年7月6日 15時
