52 渚side ページ12
『意味っていうか、元々言いたかったのは、「夏の庭で、あなたの顔が見たくて名前を呼んだ。私の背中を押してくれたのは、触手だったんだなぁ」って感じ』
んー、日本ならではの夏の庭でさ、好きな人と二人きりなの。
特に話す訳でもなく各々ぼーっと庭見てたんだけど、ふと触手を見つけて。
で、その触手を見てたらこう、「彼のこと好きなんでしょ？顔見たいんでしょ？思い切って名前呼んじゃいなよ！」みたいなことを触手が言ってる気がして思い切ってその人の名前を呼んでみた。
そしたら向こうが自分を見てくれて、思いの外会話も弾んで、触手のお陰で幸せな時間を今過ごせてるな…みたいな。
『うーんよく説明出来ないけど』
「よく触手でそんなイメージ湧いたな」
感嘆の声を洩らしたのは磯貝君。
ちなみに僕の前に座っている前原君は、「いや成瀬の想像力えぐいて」と苦笑していた。
確かに僕も触手でそんな情景は思い浮かばない。
というか、ほとんどの人が思い浮かばないと思う。
先生は顔をほんのりピンク色に染めていて。
「その触手、いい仕事してますねぇ。
若者の恋、それを見守る触手…。
ヌルフフフ、いいですねぇ」
『なんか、先生見てたら思いつきました。
下世話なこと好きそうですよね、先生って』
「にゅやッ、成瀬さん!?」
酷くないですか!?と慌てる先生。
成瀬さんはそれを見て笑っている。
その様子は面白くて、まだもう少し見ていたいけど、後ろから感じる視線がそろそろ痛い。
＿やらなきゃ。
意を決して立ち上がる。
椅子を引く音は案外響いて、教室中の視線を集めた。
教壇へ向かう途中で聞こえてきた、誰かが息を呑む音。
教室の空気がほんの少しピリッとした、そんな中。
『渚君も出来たの？』
ヒリついた空気を壊すように、普段と何ら変わらない調子で、見ーせて、と僕の手元を覗き込んだ成瀬さん。
彼女がどう反応するのか少し不安になったけど、杞憂だった。
無反応。
息を呑むことも、声を上げることもしない。
目を見開くことさえもなく。
顔色は明るいまま、へぇ、と一言だけ。
『先生の添削、結構辛口だから頑張ってね』
と、赤ペンで修正された色紙を見せながら成瀬さんは笑った。
色紙はナイフを隠す為のカムフラージュ。
だからこれには一文字も書いていなくて、白紙なのに。
彼女の
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紅奈虹夢＠虹茶(プロフ) - とっても面白いです！ (12月26日 11時) (
レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - みの字さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません💦そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2022年11月29日 14時) (レス) id: 720e88b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
みの字(プロフ) - とても読み応えがあってすごく面白いです！！BIGLOVE... (2022年9月3日 15時) (レス) id: e0f77146da (このIDを非表示/違反報告)
リース(プロフ) - そうなんですね！楽しみに待ってます！ (2021年4月28日 19時) (レス) id: 6559b789f7 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - リースさん» そう言って頂けて嬉しいです！大変申し訳ありません、続編は修正が完了していない為パスワードを掛けさせて頂いております。修正が完了次第公開しますので、今しばらくお待ちください。 (2021年4月27日 19時) (レス) id: f9e6e07d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘茶 | 作成日時：2018年7月6日 15時
