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「あ、待って!まだ脱がないで!」
首を傾げる三人を他所に、Aは大寿を壁際へと連れて行く。
Aは彼にポーズを決めさせると、携帯と使い捨てカメラ、更にはインスタントカメラまで取り出し写真を撮り始めた。
「はぁーやだもうかっこよすぎ…百点満点中千億点…一生待ち受けにするね…」
乾「ガチ過ぎて怖い何この人…」
撮った写真を眺めながらニヤける彼女に、乾は未知の生物を見るかのような目を向ける。
九井がカメラから出てきたフィルムを手に取ると、そこには綺麗に撮られた大寿の全身写真があった。
九井「へぇー、結構写真撮んの上手いじゃん。俺等のも撮ってよ。」
「チェキなら良いけど携帯は九井君のでね。私のフォルダは大寿君限定だから。」
九井「大寿オタクめ。」
Aは九井から携帯を受け取ると、カメラと合わせて複数シャッターを押す。
だが大寿を被写体にしていた時とは打って変わって、その瞳に輝きはまるで無かった。
九井「もっとヤル気出せよ。」
「二人共良い感じーかっこいいよー。」
九井「棒読みかよ。」
撮り終えた写真を見てみれば、気合いの無さにしては出来映えの良い物が撮れている。
写真を眺めはしゃぐ二人を見ていたAは、ふと思い付いたように口を開く。
「ねぇ九井君、私もココって呼んでもいい?」
そんな事を言われると思ってもみなかった九井は、目を丸くさせる。
九井「なんだよ突然?」
「なんか"ココ"って響きが可愛いなと思って。」
九井が許可すると、Aは感情の込もっていないトーンで喜びながら大寿の写真を仕舞う。
二人の写真を撮っている間に着替えていた大寿が戻ってくると、Aはすかさず彼に飛びつく__が、顔に何かを押し付けられ、女子らしからぬ声を上げた。
大寿「これから少しコイツ等と話するから、お前はコレ食って大人しくしてろ。」
大寿が顔に押し付けたのは、徳用と書かれた茎わかめの大袋だった。
Aはソファに座った大寿の隣に腰をかけると、袋を開け無言で食べ始める。
着替え終えた九井達は向かい側に座るが、真顔で茎わかめを咀嚼する彼女を、異様なモノを見る目で見つめた。
乾「大寿…あの…」
大寿「コイツは気にすんな。コレがある間は黙ってる。」
その後大寿の言った通り、袋の中身がある間Aは一言も発さなかった。
彼女が全て食べ終える頃には話し合いも終わり、九井と乾は帰り支度を始める。
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子持ちししゃも(プロフ) - ムーンさん» コメントありがとうございます!もうすぐ完結なので、是非最後までよろしくお願いします🙏 (5月22日 15時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - きゃー🥰大寿といよいよですね、ドキドキワクワク🤣 (5月22日 8時) (レス) @page50 id: 899026d120 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - あの場面!!だいじゅが倒された場面やぁ…タカチャンがやられる前に気絶させるのは見させたくなかったとはわかる。 (5月11日 9時) (レス) @page45 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 教会からの物音って……まさか、タカチャン達が……これは夢主がハラハラしてしまう (5月9日 17時) (レス) @page44 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» いつもコメントありがとうございます🤭教会の場面は、この作品を書き始める時からイメージしてたので早く載せたいです! (2023年4月22日 10時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2022年5月7日 16時