13 ページ14
.
高校生になったAは
俺との間にできていた距離をまた縮ませた。
Aは、両親を亡くした悲しみは
胸の奥に隠すようになって
いつも俺には笑ってくれた。
「鉄朗！ねえねえ今度久しぶりにどっか行こうよ！」
とAから誘ってくれることも増えた。
たぶん、この感じは家族なんだ。
けど、家族とはどこか違う。
もう一緒に暮らして12年？か？
家族として当然でもいいはずなのに
何かが足りない。
それでも俺は幸せだった。
そんなある日
カレンダーを見てもうすぐAの誕生日であることに気づく。
「A、もうすぐ誕生日だな。何欲しい？」
「んー、バレーボール！」
「バレーボール？」
「そう、欲しいの！」
「おー、わかった」
特に気にはしていなかった。
まあ、俺がしてたのもあるしバレーを好きになったんだろう。
Aが欲しがんなら買ってやる。
「……私ももう16なんだね」
「はえーな」
「一緒に暮らし始めたとき、鉄朗何歳だっけ？17……18か！もう私追いついちゃうよー」
「……やべえ、俺もうおっさんだな」
どこかおかしげなAは
でも鉄朗は鉄朗だよ、と笑う。
「鉄朗、いままで本当にありがとう」
「おう、どーいたしまして」
「なんか懐かしいねー。今でもオムライス作ってくれるじゃん」
「Aが好きだからな」
そう言うと、俺がいつも見てきた
あの幸せそうな笑顔を見せた。
ああ、俺はこの笑顔を見るために
Aを育ててきたんだなって
その成長をずっと見てきたからこそ
Aが少しずつ変わっていくのもわかる。
それを噛み締めるように
一つ一つ実感していく
そんな幸せが俺にとってどれほど大きいか。
Aと過ごしてきた時間は
宝物と言っても過言じゃねえし
思い返すたびに幸せだと実感する。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 302人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妄想夢豚 - 待ってやばい泣きすぎたこんなに泣いたの【君の膵臓をた◯たい】の映画見て以来だ！ (2018年8月16日 14時) (
レス) id: cbad54000a (このIDを非表示/違反報告)
えーすらぶ(プロフ) - なんでだろ…何回読んでも涙腺が機能しない… (2017年8月5日 16時) (レス) id: 9061695b3b (このIDを非表示/違反報告)
星売り屋(プロフ) - 涙線がぁあ！感動しました！これからも頑張って下さい！くっこの小説の良さを伝えきれない自分に腹が立ちます！ (2017年1月4日 10時) (レス) id: 219465c9fb (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯。(プロフ) - いい話だね涙がポロポロ出ちゃった｡°(°`ω´ °)°｡ (2017年1月4日 3時) (レス) id: 7a0b665db0 (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - 久しぶりに泣いた！ ボロボロ涙が溢れて、涙が落ちるまで自分が泣いてるって気づけませんでした(笑) (2016年12月14日 21時) (レス) id: 77b715be7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
