僕らの心霊現象解決社

弍拾参:彼らのために【レミフラドール･スカーレット】 ページ23

【柚香視点】
只今私は全力疾走していた｡…沢山の怨霊を引き連れて｡

「なぁ〜にが怨霊だ!!君たちは,か弱き女子(おなご)も捕まえられないのかえ?!
どうせ社会のゴミだったんだろう！バーカバーカ！バーカバーカ！」

怨霊1「あ"?!ざっっけんじゃねぇぞこの餓鬼がｯ!!!??」
怨霊2「どこがか弱き女子(おなご)よ!?」
怨霊3「社会のゴミで悪かったなぁｯ!!!??」
怨霊4「待てやこﾝ野郎ｯ!!!」



現状,道行く怨霊に喧嘩を売ってます。



ｱ"ｱ"ｱ"すいませんねェ、怨霊の方々！
私だって皆様の相談にのってあげたかったのだよ?!ただ,多すぎなのよぉぉぉぉおお!!
しかも怨霊の先頭がヤクザなのはなんで!!??
別に?!ああいう台詞吐くような性格じゃないからね!? 演技だから、 …演技だから！←

全員分の形代用の紙を手に走る,走る,走る｡

紙にはいざという時の為に貯めていた私の霊力が込められている。
そこにそれぞれの霊力が加えると本人達より強い霊力を持つ依り代が完成する。
そう,囮作戦だ｡

危険な策であることはわかっているが,元々怨霊相手に安全なんてないからね,ｼｶﾀﾅｲﾈー｡


ここまでくればこの怨霊は私を殺す為に公園まで勝手に来てくれる｡
そう察した柚香は一気にスピードを上げ怨霊と距離を開いた｡


「うえぇ………ぜぇ…はぁ…ぜぇ……きっつ………」



足を止めぬようジョギング並のスピードで公園に入る｡

む？彼処で変な紙袋を持って頭を抱えてる者がいるな,あれは…奏？

「あれ、何してるの？」

私に気づいた奏は

「ねぇねぇ、ちょっと質問なんだけどさー、優ちゃんを結界から出す方法思いつかない？」

と聞いてきた。


優の方を一目見て奏の言葉が理解出来た。
結界の中で縮こまっている優の周囲に気まずい雰囲気が漂っているから｡
……怨霊の思うツボに嵌ってどうするつもりなんだ…？


私はめげない。めげてはいけない。彼らのためにも。


怨霊5「偽善者……」

怨霊の中の一人の口からそう聞こえた。
ふっと鼻で笑い、優の所へと進んでいく。

「自分でも自分の気持ちがよくわからない時がある。これを君たちがそう言うのならそうなのだろうな。
だが、たとえ君らがどう言おうと私は私だ｡

誰にも流されない。自分で決める。」

優に聞こえる位置で、はっきりと口にした。たとえ聞こえていなかったとしても。
私は結界の前に立ち、優に優しく微笑んだ。

依代なんて要らないのかもしれない。私は依代をポケットに仕舞った。

「久しぶり。」

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