We'll be alright!! (ページ8)

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Seungcheol／Mingyu ページ8

全員が荷物検査をクリアした頃、隣に座っていたAヒョンの様子がおかしいことに気が付いた。胸の辺りを押えて俯いている。
「ヒョン？どうした具合悪い？」
「……いや、ちょっと外出てくる」
ニッと笑って立ち上がった。明らかに無理矢理作った笑顔にこっちの顔が険しくなる。皆が心配そうに見つめる中、Aヒョンはひとり甲板に続く通路へと消えて行った。表情を曇らせてミンギュが呟く。
「船酔いかな……」
「だろうな。チャニ、ヒョンの荷物に薬袋入ってるだろ？中に酔い止めないか見てくれ」
「パンツだけじゃないんだ」
ソクミンがぽつりと溢す。
「ヒョンが薬袋持ってこないわけがない」
何かあるとすぐ出てくるブルーのポーチ。俺たちももう何度も世話になっているそれは最早ヒョンの代名詞だ。
「んー、入ってないみたいです」
「やっぱり。俺達誰も乗り物酔いはしないし、ヒョンも普段車で酔ったりしないから持ってないだろうとは思ったんだ」
「……俺様子見てくる」
ミンギュがそう言って立ち上がると、神妙な顔をしたスニョンが「俺も行く」と言って後を追った。

ヒョンは甲板で蹲っていた。スタッフが2人付いていて、ヒョンの背中をさすっている。
「ヒョン、大丈夫？」
「ん、だいじょーぶ。寒いから戻ってな」
同じようにしゃがんで顔を覗き込む。笑ってはいるが真っ青な顔はどう見ても大丈夫なんかじゃない。
「ヒョンなんで言ってくれなかったの。俺酔い止めいる人って聞いたよね？」
スニョンイヒョンも近くにしゃがむとムッとした顔で言った。ヒョンはスタッフから2本酔い止めを貰っていた。メンバーに聞いた時誰も手を挙げなかったからチャンにあげたのだ。
スニョンイヒョンは多分Aヒョンが気を使って譲ったと思っている。
「あのね、俺だって自分が船で酔うなんて知らなかったよ」
「……そうなの？」
「当たり前だろ初めて乗ったんだから。デカイくせによく揺れるな、まったく」
そう言ってヒョンはスニョンイヒョンの頭を乱暴に撫でた。つり上がってたヒョンの糸目がくたっと垂れる。
「吐いちゃえば少しは楽になるよ」
「ご馳走食べたばっかりなのに～～もったいねぇよ～」
「馬鹿言ってないで、ほら」
スタッフから貰ったビニール袋を渡すとヒョンは受け取って目を伏せたまま言った。
「気ぃ使ってくれてありがとう。でも早く戻りな。撮影止めちゃダメだ」
「……張本人のくせに」
親切を素直に受け取ってくれないことに拗ねると、やっぱりヒョンは笑った。