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三人が目覚めたのは高いところ。
見渡す限りの海。
潮臭い。
90m四方の正方形の土地だ。
端に、これまでみたことない人影が立っていた。
こちらの方にその人影が振り返った。
「こんにちは。三人とも。よくきたね」
その姿は黒外套をはためかした長身の男。
異質な空気を纏う男。
その男は、聞くものを圧倒させる力を持っていた。
三人は身構える。
男の後ろには二人の人間が立っていた。
一人は“偽”敦、もう一人は川端だった。
芥川が肉薄した様子で男の方に近づく。
「羅生門____
羅生門が拳の形となって具現化する。
「詰まらないね」
そう男が云い、芥川の羅生門に細い指で触れると____羅生門は薄い飴細工の様に砕け散った。
「な……?」
芥川が困惑する。
後ろの二人もさして男を守る素振りを見せなかった。
「芥川君。ポートマフィアに入らないかい?」
…………………………………………………は?
「自己紹介が遅れてしまった様だね。私は太宰治。ポートマフィアの首領だ」
其の場の空気が凍りつく。
芥川の背中から殺気が昇り立つ。
「異能が効かないのならば、素手でやるまで……」
芥川が太宰に拳を振るう。
太宰の痩せぎすの体が放物線を描いて宙を舞う。
とたん、不思議なことが起こった。
川端が太宰を追って身を投げたのだ。
「………………‼︎」
“偽”敦が下の方を覗き込む。何も見えなかったらしく、首を振っている。
芥川と敦を憎悪のこもった目で睨む。
「僕はたった今、全ての信頼できる人を失くした。お前も同じ様にしてやる……」
“偽”敦が爪を音もなく伸張させる。
高い所___ポートマフィア本部楼閣、屋上で死闘が始まった。
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珀秋そら(プロフ) - 感想正座待機でお待ちしておりますべ (2022年8月9日 18時) (レス) id: ae0531e6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白時 | 作成日時:2021年7月9日 13時