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私よりも大きな背、私よりも大きな手。
何もかもが初めての感情で、初々しい空気が漂う。
繋がれた私の右手、そこから繋がる彼の左手。
腕筋が鋭く通っていて、スポーツやってるんだっていうのが一目で分かる。
これじゃあまるで、付き合ってるみたい。
私達、そんな関係じゃないのに。
店内に掲示されたポスターをぼーっと眺める。
あれは剣道？ いや……薙刀か。
詳しくない武道について考えていると、影山くんの声で我に返った。
「これ、先輩ならどっちがいいですか？」
繋がれていた私の右手は何もなく、隣にいた影山くんは靴を両手にしていた。
黒にゴールドラインの格好いいシューズと、白に黒ラインのシンプルなシューズ。
純粋な目で、私の返答をじっと待つ。
「……黒い方？」
どっちがメジャーなのか知らないけど、影山くんに似合うのは黒だと思った。
影山くんは「じゃあ黒にしよう」と、白いシューズを箱に戻している。
「え、本当に黒でいいの？」
「先輩が黒がいいなら、俺も黒がいいんで」
「え、は？」
言ってる意味がよく分からない。
前から思ってたけど、この子はちょっと変わった子なのかもしれない。
影山くんの後を着いていき会計を済ませると、再び私の手をとった。
こんな恥ずかしいことを、澄まし顔でできるものなのか。
それとも、誰にでもこんなことをしているのか。
普通の女の子だったら嬉しいんだろうけど、残念。
私は“普通の女の子”じゃない。
“醜い女の子”だ。
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ハルジオン(プロフ) - 太宰亜里沙さん» コメントありがとうごさいます。楽しんでいただけてなによりです！ (2020年7月14日 17時) (
レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - コメント失礼します！凄く面白くて一気読みしちゃいました！静かな夏の描写や素敵な影山をみれてとても読んでいて楽しかったです！ (2020年7月14日 12時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます。夏の描写はかなり気を使っていたので、そのように言っていただけて光栄です！ (2020年7月11日 13時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - 影山くんと主人公の不思議な関係、対して、鮮明な夏の描写。素敵な文章に幾度も胸をきゅっと締め付けられるようでした。最後の文章で、一気に世界が色づくような錯覚を覚え、思わず泣きたくなるような気持ちになりました…！ (2020年7月11日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルジオン | 作成日時：2020年6月21日 13時
