12 君臨するは、神＊ ページ21
あの日、炎に包まれた部屋で双子は叫んだ。
死にたくない、両親のために生きたいのだと。
幼い彼らの悲痛な表情と、悪夢にもがき苦しむ少女の表情が、どうにも重なって見えた。
「…そろそろ話をせぬか、雲の男よ。」
聞き慣れない声がどこか不満げな調子で告げた台詞に、勢いよく飛び起きる。
気配のない音源を睨み付ければ、そこにいたのは女だった。
「そう睨むでない。我は世界を保つ者。」
「…ふぅん、自分は神だとでも？」
「その通り。ここは貴殿と我の思考を共有する精神世界。」
警戒を緩めぬ僕に笑いかけた彼女は、付いてこいと呟き、軽い足取りで歩き出す。
踏み出した先には、緑と青の世界が広がっていた。
果ての無いような光景を眺めていれば、足を動かし続けている女は言った。
「貴殿、秋村Aの自白をあらかた聞いたのだろう？
そこに白猫はいなかったか。また、我の…神の名はなかったか。」
振り向きもせず淡々と尋ねた女の言葉に、自分が少女との情報交換の末に眠った事を思い出した。
「…彼女、白猫を助けて死んだんだってね。
でも、神と会ったなんて話は聞いてない。」
返答を聞いた女が、そうかと小さく呟き顔を伏せたのを見て、Aが全ての真実を告白しなかった事に苛立ちを感じた。
なら、この神から直接聞くしかないだろう。
大体の予想はついているが。
「ねぇ、白猫って君なんじゃない？
彼女の悪夢を見たけど、雰囲気も色もそっくりじゃないか。
…助けてもらって死なせた詫びに、僕の世界に転生させたってとこかな。」
予想のままに言えば、女は驚いたように足を止め、ようやく振り向いた。
彼女の夢にあった白猫の瞳と、同じ青さを持った瞳を見て、自分の仮定を確信した。
しかし、女は静かに首を振り、驚きの言葉を口にした。
「惜しいな、確かに私が白猫だ。
……だが、私は彼女を意図的に殺した。」
「…へぇ。神が人を殺すなんて初耳だ。」
神の慈母を疑う真実に思わず目を細めた。
家族の名を交互に呼び、前の世に未練ばかりを残して去った少女を思い出す。
しばらく青の瞳を見つめれば、女はやっと口を開いた。
「…貴殿は何故、秋村Aを拾った？」
「……は？」
「いや、秋村Aだけではない。
あのフォートナードという双子を、何故拾った？」
予想だにしていなかった質問に、返す言葉を失った。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
