10 似た者同士かもしれない＊＊ ページ18
初めて異変を感じたのは、あの日。
僕達双子がベッドに向かい、両親が店の後片付けをしていた、真夜中。
店のドアにつけられたベルが鳴り、
両親と訪問者とが言い争う音が続いた。
か細いが、反発的な声に被さる、
聞き慣れない野太い声。
滅多に声を荒げない父と母が、必死に何かを
訴えていて。
何かがおかしい事に気づいていながら、
何が起こっているのか理解できない僕達は、
互いの手を握り、不安を押さえるしかなかった。
やがて、一時間程経ち、さっきより荒々しく響いたベルの音に肩を震わせた瞬間。
両親が、僕達の部屋に飛び込んできた。
どうしたんだ、と不安を口にする僕達などお構い無しに、彼らは僕らをしっかりと抱き締めた。
決して、逃がすまいと決意するかのように、
しっかりと＿＿＿。
やがて沈黙が漂い、締め付けられる体に
痛みを感じ始めた時、ぽつりと母が言った。
『…大丈夫、母さんが守るわ』
その声は、しっかりした手とは対照的に、
頼りなく震えていて。
どこか悲しみを秘めている母の言葉に、僕達は
頷くしかなかった。
そして、再び二人は僕らを抱き締めた。
さっきよりも激しく、力強く。
あの時、僕らが無知で幼かった事を、
恨まずにはいられない。
人を励ます言葉のひとつやふたつを言えれば、
母の悲しみが和らいだかもしれないのに。
その夜を境に、僕達の周囲に異物が増えた。
帰り道、大柄な男が後をつけてくる事なんてザラにあったし、リーアが誘拐されかけた事だってあった。
日常に似つかわしくない恐怖が侵入する中、
真夜中の店先での口論は止まらなかった。
口論の間、次第に荒くなる両親の語調に怯えながら、決まって僕達は互いを抱き締めていた。
真夜中、部屋に飛び込んでくる両親は決まって僕達を抱き締めていた。
日に日に強くなる腕の力が、彼らの怯えをはっきりとわからせ、僕達の不安を高めていった。
そんな日々が、二週間程続いて。
僕達はあの運命の日を迎えた。
あの日の朝、いつもの雀の鳴き声が聞こえない事を奇妙に思いながら、僕達は階下に降りた。
そして、目を疑った。
運び出される時計の数々。
体格のいい、野蛮そうな男達、そして＿＿、
彼らの足元に倒れた、両親の姿＿＿＿。
遠目から見ても、絶命している事は確かだった。
リーアが小さく息を呑んだ時、男は言った。
『ハッ、運が悪かったんだよ!!』
さげずむように言われた一言に、体が冷えきった。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
