悪役の善人 其ノ壱【※裏切り】

人間を鬼にする鬼 ページ48

〜Aside〜

「あら、炭治郎。

ちょっとこの人に道を聞いてたの」

「道を……？」

「えぇ」

私は視線で、鬼舞辻無惨を引き止めるためだ、と伝える。

竈門さんは少し訝しむような表情をしていたが、視線に気付くと鬼舞辻無惨の方を見た。

「おとうさん」

少女が鬼舞辻無惨に声をかける。

「まだいかないの？」

……流石に道を聞き終わったのに引き止めると、女性の方に怪しまれますか。

「あ、引き止めてしまってすみません」

「いいえ、大丈夫ですよ」

鬼舞辻無惨は、横目で竈門さんを見た。

竈門さんの目には、家族を殺され、妹を鬼にされた怒りが宿っている。

私がここで鬼舞辻無惨と別れたとしても、竈門さんは追いかけるだろう。

「それではーー…」


鬼舞辻無惨は表向きの笑顔を見せながら


「失礼」


一瞬だけ鬼の目をして


「しますね」



ーー通りすがりの男性の首を爪で引っ掻いた。



「うぐっ」

「あなた、どうしました」

……っ！！！

まさか……！！

「やめっ………！！」

竈門さんが手を伸ばすが、届かない。

「キャアアアッ！！！」

男性は、身内らしき女性に倒れ掛かった後に、女性の首に噛み付いた。

気配は、完全に鬼だ。

目の前で…人間が、鬼に……

「っ……」

後悔している暇はない。

…まだ、男性は誰も殺していない。

…まだ、罪は犯していない……！！

竈門さんが、巻いていた布を取りながら男性の元へ向かう。

そして跳躍で女性から男性を引き剥がし、男性の口に布を詰めた。

「あなた！！」

「奥さん！！こちらよりも自分のことを！！

傷口に布をあてて強く押さえてください！！

A！！奥さんの方を！！」

「えぇ！！」

幸い、女性の傷は致命傷ではない。

この傷ならすぐに治療薬が調合できる。

「彼の言った通り、傷口を強く押えてください。

すぐに治療薬を調合します」

「あ、アンタ医者なのかい？

そんな格好には見えないが……」

近くにいた男性が声をかけてきた。

私は薬を調合しながら答える。

「普段の仕事は医者でも何でもないですが、薬師の心得はあります」

……その時、鬼舞辻無惨の気配が遠のく事に気付いた。

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助けて…もうすぐ期末テストのテスト期間に入るの……
真面目にテスト滅んでくれ。
もうテスト滅の刃始まっちゃうよ(語呂悪い)

“人”という言葉→←鬼舞辻無惨

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