【3年A組】不自然な彼女

■⇒ ページ36

先生がやってきて、促されるままにクラスメイトは続々と席を立つ。

そして起立と礼で始まる、先生の授業。


「どうしたお前ら。何かドンヨリしているなぁ？
え、そんなに体操がキツかったか？」

「この状況でヘラヘラしてる方が可笑しいだろ」

「ははっ、確かに」


そんな雑談にクラスメイトの数名が苛々するのが目に見える。
現に、諏訪さんが舌打ちしたのがかなり離れてる此処からでも聴こえてきた。


「何でこんな事するのか、ちゃんと教えてよ」

「いいよ。俺の質問に正解できたらね」

「また『景山が死んだ理由を探せ』か？」

「ピンポーン！けど今日はもう1個踏み込んだ質問をしよう」


踏み込んだ、質問…？
その単語に思わず首を傾げてしまう。


「昨日茅野が言ってた景山のドーピング疑惑、そして東海林の愛人疑惑の件だ。」

「ドーピング…」


私のことは、どうでもいい。
今の私は、澪奈のためだけに生きているようなものだから。






「SNS【MIND VOICE】に『景山が全国大会でドーピングをした』『東海林は高瀬と繋がりがある』という投稿があった。そうだな？」

「…えっ？どういうこと、ですか…？」

「そうだな、茅野？」

「…はい」

「…先生。私の質問に答えてください」

「お前の質問は今から答える。」


そう言って黒板に貼られていく、何枚かの紙。

その紙に書かれた言葉に、言葉を失う。


.


そこには…澪奈に対する誹謗中傷が数多く書かれていた。



「探してみたら見つかったよ。


投稿者【やり逃げX】、このやり逃げXは景山への執着がすごくてねぇ…
探してみると色々とエグい投稿がたくさんあったよ」


『あの女をめちゃくちゃにしてやりたい』
『あいつが苦しむ姿を見ると興奮する』
『景山死ね』
『景山笑うな、キモい』
『あの女の水着を切り裂いてやった』
『あの女の部屋の窓を割ってやった』
『あの女の上履きをトイレの水に浸してやった』
『景山なんて生まれてこなければ良かった』
『あの女を学校から自宅までつけ回した』


溢れかえる澪奈への罵詈雑言の中に、一枚だけ違うものがあった。



『東海林なんか、だいきらい』


それは……私に向けられたものだった。


「問題の投稿がこれだ。



【全国大会当日のロッカー。景山澪奈選手の鞄に謎のカプセル】

【東海林小春、平成史上最悪のサイコパス・高瀬文人との親密な繋がり】




.





この投稿には動画が添付してあった」


パソコンが皆の方に向けられ、動画は再生される。

■⇒→←■⇒

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す