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AM8:20。
予定通り、自分の教室に着いた。
そして窓側の一番後ろの席。
もっと詳しく言えば、悪口で埋め尽くされた机が目印の私の席へ向かう。
その机を見て、溜息を零すつもりはない。
ましてや、悪口にショックを受けて泣き喚く訳でもない。
ただ…座るだけ。
だって、何も感じないから。
「ねぇ」
「…はい」
声をかけられたことに気づいて、反射的に右を見る。
諏訪唯月。名は体を表すという言葉の通り、
月のように唯一無二の輝きを放ったような存在感があると私は思っている。
「アンタ何でいんの」
「…先生に、今日は必ず出席するように言われたからです。」
「知らないし。アンタみたいな鉄仮面、このクラスの人間じゃないから。」
「…はぁ」
…ただ、決して太陽のような明るく眩しい輝きではない。
月のような暗闇でないと輝けない彼女は、どうやら反応のない私のことが気にくわないらしい。
「ほら、出てけよ!早く!!」
腕を取られ、思いっきり引っ張ったのか私は立ち上がっていた。
その反動は椅子にも伝わったらしくて、椅子は音を立てて倒れた。
クラスメイトはこちらを見ようとはしない。
否、仮に見たとしてもすぐに逸らしてしまう。
諏訪さんを含むこのクラスのカーストの上位メンバーには誰も逆らえない。
そして私は……
「…座りませんか。もうすぐ柊先生が来ますよ。」
「ハァ?それで逃げられると思ってんの?」
「…座りませんか。諏訪さん。」
「うるさい!この__!!」
汚い言葉と共に、私の頰に諏訪さんの掌が打ちつけられる。
その音はクラスの騒ぎ声を静かにしてしまうほど鋭いものだった。
「…何、その目?」
だけど、私の頰は痛くない。
痛くないから、何も辛くない。
何も辛くないけど、とりあえず諏訪さんを見つめる。
.
.
.
「__とりあえず、席につこうか」
いつの間にかやって来た柊先生の言葉が聞こえた。
それを聞いた私は、椅子を立て直して座った。
……そして、今もなお立ち続ける彼女に声をかけた。
「…座りませんか、諏訪さん。」
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蒼炎 - アンナチュラルも3年A組も好きなドラマだったので、続きが気になります!更新待ってます! (2020年1月12日 22時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 続き気になります!更新待ってます! (2019年12月3日 4時) (レス) id: 7c69be82b3 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいてます!更新、待ってます!! (2019年5月5日 16時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 主人公が私の好みです!更新頑張ってください! (2019年4月24日 20時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
かれーこ - このお話好きです!更新頑張ってください! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 6209d012cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無音 | 作成日時:2019年3月24日 6時