百八十五バカ ページ26
『はぁ…はぁ…』
先生が屋上へ戻ったことが分かると、
さっきまでの緊張とか怖さが消えて、なくなったはずの涙がまた溢れた。
諏訪「よかった…」
唯月の涙ぐんだ声で発せられた言葉通り、今は安堵の気持ちだけが残っていた。
『ッ、先生…先生の眼鏡、そこに落ちてたから、本当は来てほしいって分かったから、来たよ？』
柊「……はは、翠川にしては判断が遅かったな。」
そう言って先生は里見くんに支えられながら立ち上がり、眼鏡をかけた。
柊「茅野、お前に聞く。
お前は本当に、景山の手を放したのか？」
先生の問いに、さくらはまた涙を零す。
柊「楽になると思って、その手を放したのか？」
さくらは涙を拭うことはせずに、首を横に振った。
茅野「違います…私は澪奈に、生きてほしかった。
だからその澪奈の手を放したくなくて、必死に掴んで……」
先生はさくらの手を掴んだ。
先生の表情は…笑顔だった。
柊「な？そうだろ？お前は放さなかったんだよ。
この小さな手で、最後まで、精一杯…景山を救おうと頑張ったんだよ。
.
＿＿だからもう、自分を責めるな」
いいな？、先生はさくらにそう言った。
茅野「はい……っ」
そう言ったさくらを、先生は抱きしめた。
…よく頑張った、そう言って優しく抱きしめた。
『よかった…さくら、よかったね。』
里見「翠川…お前もよく頑張ったな。」
『ううん…さくらがずっと掴んでくれなくちゃ、また私は部外者だった。
さくらがいてくれて、本当によかった……！』
里見「うん…そうだな…」
さくらと同じぐらい泣きじゃくる私の背中を、里見くんは優しく撫でた。
柊「…これで本当に、俺の授業は終わりだ。」
宇佐美「もしかして…さくらの心を、救うために…？」
甲斐「眼鏡を外したら、信じるな…」
瀬尾「死ぬつもりじゃなかったってことか…」
瀬尾くんのその言葉に、先生は笑う。
そう言って、後ろの校庭や住宅街…朝日を見る。
柊「死ぬのは、怖いな」
先生は、そう言った。
.
……もうすぐ死んでしまう先生は、私達に顔を見せずにそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白猫 - これからは里見ちゃんですね！…お疲れ様でした！この作品大好きです！！お幸せに(笑)！！ (2019年3月22日 23時) (
レス) id: 31ca7faa7d (このIDを非表示/違反報告)
ぺんちきん(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです！！私も、スイちゃんのような人になりたいです…！！そして、柊先生のように…！！更新お疲れ様でした！里見とお幸せにー！！！！頑張ってください！！笑 (2019年3月19日 22時) (レス) id: 5d2a6311dc (このIDを非表示/違反報告)
ぺんちゃん(プロフ) - スイちゃんが里見になったらスイちゃんって呼べなくない…？スイちゃんは永遠なり。完結おめでとうございます。DMで汚い話ばっかりしててごめんなさい。里見くんと末永くお幸せに！結婚式行きたい…(白目) (2019年3月19日 17時) (レス) id: b91641893d (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - この作品すごく好きです！なので最終回が終わってもhuluでの卒業式を書くか、無理ならオリジナルでもいいので続きを書いて欲しいと思います！無茶な要望かもしれませんが考えてみてください…！ (2019年3月15日 12時) (レス) id: a408a97bb7 (このIDを非表示/違反報告)
すいとー - めっちゃ良い作品！だって夢主ちゃんがいるから原作とちょっと違うとことか、うん。まじで(語彙力消滅)と、とにかく更新頑張って下さい！そして原作も最終回来ますね。更新楽しみにまってます！ (2019年3月7日 18時) (レス) id: 13d6886a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無音
| 作成日時：2019年3月4日 16時
