Wolf Ⅱ (ページ15)

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辻褄ページ15

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『...ねぇ？＿＿＿ねぇ！？』

「っ...！？」

その後ろ姿が消えた視界の景色は、見えないほどにぼやけていた。

街の賑わいも声も何も聞こえなかった時、ふとひとつの声筋が耳を貫く。

その声に導かれるように後ろを振り返ると、
それと同時に溜まっていた涙も軌道を描いて流れ落ちた。

「まこっ...とっ...」

望んでもいない震えが口を不自由にさせ、その私の姿が彼の顔を歪ませた。

『なんで泣いてるの...？』

私の目線の高さまでしゃがみ込んだ慎は、肩を掴んで体を揺らす

溜まりに溜まった涙はその僅かな衝撃でも頬を濡らしていった。

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「......ぅとさん...」

『えっ...？』

「＿＿＿＿＿ほくっとさん...！」

私は目の前の彼の体に夢中で縋りついた。

頭の大半を占める“彼”

そのせいで思考力なんて欠片もなかった。
考えられないから口から出さなければいけない言葉も上手く紡げない。

だから私はただ彼に訴えるだけだった。

只事じゃないと判断した慎は私と共に立ち上がる。
明らかに困惑している顔。

困らせてるのは私だ...。私なんだ...。

そんなことは分かっていながらも、
スーパーへの道とは違う道を進む彼に、ただ涙を流しながら無言で腕を引かれた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ドンッ＿＿＿＿＿＿＿

普通なら“ガチャ”っと鳴るドアも、勢いの良い開け閉めによって大きな音を成す。

さっきまで私の手を引いていた慎は玄関に入るとその手を離した。

それと同時に先を行く慎よりもいち早く廊下に足をつけたのは私。
靴を一目散に脱いで、靴を揃えることも慎のことも考えず、そのまま廊下を駆けていった。

「北人さんっ...！！」

リビングへ入り駆けるを勢いを緩めずに、私は北人さんの元へ近づいた。

あまりの大きな音と声に気づいた北人さんは、
大きな画面を見る目を逸らし少しずつゆっくりと後ろを振り返る
私がちょうど脇にたった時、北人さんもこちらを向いていた。

久しぶりに見た気がする北人さんの顔

丸メガネにけして良いとは言えない真っ青な顔と、濃い目の下のくま。
少し虚ろで焦点が合いにくくなっている瞳は、おそらく何日も寝てないせいだろう。

『＿＿＿＿＿どうしたの？』

私の荒い息だけが響いていた静かな部屋に、言葉頭が少し出しずらそうに北人が声を発した。

名残のあるふわふわとした喋り方に、少し安心する

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