Wolf (ページ11)

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『家行ったら、2人ともいなくて...。心配したんだよ...』

「なんでここっ...『もう大丈夫だよ？』

“わかったの？”
そう言う前におじさんが“不自然に”言葉を遮る。
先程よりも少しずつ強くなる肩の力。
そして、優しさ漂うその顔の口角が上がった。

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「っ...！！」

『ほら、行くぞ...』

その瞬間、いきなり首を鷲掴みにされ玄関から引っ張りだされる。

その力はあまりにも強く、抵抗なんてできるものじゃなかった。

耳に響いたのは優しいおじさんからは想像できないような低い声。
背筋が一瞬で凍った。

「離してっ！！」

引かれるがままに、足を動かす。
うまく体が動かなくてついていけず、足音が豪快に響いた。
外の空気が露出している足の隙間を通り、余計に足を鈍くさせる。

そして歩きながらふと見たおじさんの横顔は、あいつと同じ顔をしていた。
その瞬間、
もうダメだ...。
脳裏に出てくるその言葉。
完全にあいつに見えてくるおじさんの顔。

首を掴まれる痛さに耐えながら、無意識の涙をこぼす。
止まらない足と少しずつ強くなる力。
全てがあいつのことを連想させ、思い出させ、余計に心臓が早くなる。

頭に耳鳴りが響き、体中に巡るあいつの感覚。

その記憶のせいで声を出せず、抵抗もできず、
ただ目の前に迫る開いた車のドアへ、声にできない叫びを叫んだ。

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