佐久間の色の明日【8】 (ページ14)

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佐久間side

「寝ちゃったな」

あれから3人は仕事に行って、舘さんは買い出ししたいって言って買い物に出かけて行った。

それでラウールと一緒にゲームして盛り上がってたんだけど、

いつの間にか隣でラウールも爆睡。

さすがにラウールとの慎重さを前にしたらベッドまでは抱きかかえれないから、

近くにあったタオルをラウールにかけてラウールの部屋から出る。

喉乾いた．．．。

さっきまで白熱してゲームしてたからめちゃくちゃ喉が渇いて、

リビングまで降りていく。

お水、お水。

冷蔵庫を開ければ、いつも常備されているペットボトルの水。

それと、

佐久間さんが大嫌いなお茶。

メンバーのほとんどが成人してるからお酒をストックしててもいいんだけど、

未成年のラウールや俺がいるからって理由で

常備しないっていう決まりがあるんだよね。

あと、ジュースや炭酸ドリンク類も俺が誤って飲まないようにってストックされてない。

なんかこういうの見ると、申し訳ない気持ちになる。

やっぱり、飲みたいものが俺のせいでストックできないとか、

俺と皆の料理が違うってなると、気遣わせちゃうし。

昔からそういうのは慣れっこだった。

でも、こうやって、シェアハウスするってなるとそれ以上に気遣う部分が多くなる。

それもそれが露骨に見えるとなるよなおさら。

あれ？

「おいしそう．．．」

いつもは絶対に入っていないものが、冷蔵庫の中に入ってあった。

「食べたいな．．．」

入ってたのは、昨日残っていたケーキ。

確か、翔太がお腹いっぱいって残してた。

俺は、ケーキみたいな糖類は食べれないから

いつも舘さんが手作りのものを代わりに作ってくれてる。

でも、やっぱりこういうの見ると食べたくなる。

元々甘党だし。

「なんでこんな体なんだろ．．．」

皆と同じものが食べられない。

皆と同じことができない。

それがいつもストレスの原因。

皆と一緒がいいって思ってもそれを拒む俺の身体。

「ちょっとならいいかな？」

最近行った検診は結果がよかった。

少しくらいなら、全然問題ないよね。

発作だって全然起きてない。

もしかしたらもう治ってるかもしれない。

だって、俺すごい我慢頑張ってるもん。

少しくらい、我慢しない日があっても大丈夫。

俺はそんな気持ちでケーキに手を伸ばした。