検索窓
今日:23 hit、昨日:77 hit、合計:1,020,298 hit

8.声援 ページ9

それからすぐに、授業や訓練が始まった。


五条先生の説明を受け、私は初めて自分が“呪術師”であることを知った。

あの不思議な黒いモヤモヤ…“呪霊”を、自分の力で退治出来ることも。


「術式云々も大事だけど、まずAは体を鍛えなきゃね。真希達に特訓つけてもらうといいよ」


真希ちゃんのしっかりした体付きとは程遠い私の体を見て、五条先生は言う。


〈ほっそ…勢い余って折ったらどうしよ〉


何やら長い棒を持って立っている真希ちゃんから、怖い心の声が聞こえて来る。


『えっと、真希ちゃん…お手柔らかにお願いします』

「おう。とりあえずあれだな、走るか」


真希ちゃんはランニングに付き合ってくれるらしく、軽いアップをし始めた。

私もそれに続き、邪魔にならないよう長い髪を束ねる。


〈A、今日も可愛いな…髪、キレイ。肌白い…〉


後ろからそんな思念が聞こえて来る。

狗巻くんの視線を感じたが、私は振り返らず恥ずかしさに耐えた。


「ランニング始めんぞー」

『あっ…はぁい!』


狗巻くんの熱烈な褒め言葉に戸惑っていると、真希ちゃんに呼ばれた。

走り出す真希ちゃんについて行くが、すぐに距離が開く。


「置いてくぞ〜」
〈こいつ、運動慣れしてねぇな。タイマンで特訓するのにはまだまだだな〉


運動とは無縁だったことが、すぐにバレてしまう。

息を切らしながら、必死に走っていると。


「A〜、死ぬなよ〜」
〈真希、飛ばしてんなぁ。Aは運動経験なしか?〉


「Aさん、頑張れ!」
〈真希さん速いなぁ…ランニングじゃなくて、競走みたいになってる…〉


「しゃけ!いくら!」
〈走ってるところも可愛い…ほっぺ赤い…頑張れ、A…!〉


3人の声と思念が頭に響く。

運動神経のなさを晒していること、赤くなっている頬を見られていることが恥ずかしくなり、思わず顔を押さえてしまう。


「Aー、生きてるかー?」
〈…なんか顔押さえてんな。吐くのか?〉


心配してくれたのか、1周走ってもう私のすぐそばにいる真希ちゃんが言う。


『…大丈夫!』


恥ずかしさを押し切り、私は再び前を向いて走り出した。

9.お疲れ様→←7.優しさ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1022 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2582人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 狗巻棘
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる!硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして!緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました!ずっときゅんきゅんしています!素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜!あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛!素敵な声〜〜〜!!凄く好きです!好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています!!大大大大ファンです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:緋波 | 作成日時:2021年2月21日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。