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31.相談 ページ32

最近、Aが医務室に来る頻度が増えた。

もちろん怪我をして来ることもあるけれど、大半は『硝子さんに会いに』と言ってわざわざここまで来る。

彼女も決して暇ではないだろうに。


「…何か悩んでんのかね?」


私が言うと、Aは『うーん…』と唸った。


「いいよ、何でも聞くから話しな」

『…こんな私の、どこに好かれる要素があるんでしょうか』


頬杖をつきながら、Aは呟く様に言う。


聞かなくても分かる。

以前悟とここに来たときに話していた、“彼”のことだ。

差し詰め、彼からの大きすぎる好意に戸惑っているのだろう。


『…最近、“好き”を聞くのが怖くなって来たんです』

「なんで?好かれるのは良いことじゃん」

『だって、いつか無くなっちゃうから』


そう言うAは、心無しか目に涙を溜めている。


『いつか無くなる“好き”なら、最初から欲しくない…こんなにたくさん想われてるっていう幸せが、いつかどこかに行っちゃうのが辛いんです』


話を聞く限り、“彼”は相当Aに惚れ込んでいるらしい。

そんな事に悩んでいる初心なAを心の中で可愛がると同時に、Aに一方的に想いを伝えられる“彼”に少し嫉妬の様な気持ちが浮かぶ。


「…もし私が思念を垂れ流してたら、Aの幸せも倍になったかな」

『え?』

「いや、Aが幸せなのは、その“彼”からの好意だからか」


私の独り言に、Aは首を傾げている。


「まぁ、“彼”の好意が一生揺らがないとは確かに言い切れないな」


Aは、その言葉に少し寂しそうな顔をする。


「でも、その好意にAが応えれば、少しはその未来も遠くなるんじゃない?」


高校生の恋愛相談に真面目に乗るなんて。

相手が相手なだけに悔しい様な、自分が経験しなかった青春を目の前に心が温まる様な、とにかく複雑な気持ちがした。

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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる!硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして!緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました!ずっときゅんきゅんしています!素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜!あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛!素敵な声〜〜〜!!凄く好きです!好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています!!大大大大ファンです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緋波 | 作成日時:2021年2月21日 0時

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