呪術廻戦*狗巻くんの心の声

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怒った訳ではないけれど、小さい子扱いされて拗ねていた私。

一日経ってもやっぱり前髪は短いままで、気の向かないまま部屋を出た。


「…高菜」

『あ、狗巻くん。おはよ…う？』


いつもと違う彼に、私は思わず固まった。

普段はセットされている髪が、今日は真っ直ぐ下されている。


『…どうしたの、髪型』

「すじこ」
〈ホントは、Aが自分の髪型気にしない様に僕も変えたんだけど…寝坊したってことにでもしておこう〉


時計を指差して言う狗巻くん。


「明太子」
〈僕も前髪あるよ。Aと一緒〉


狗巻くんが、自分の前髪を指し示す。

彼の優しさに、拗ねていた心はすっかりなくなる。


『…私、いつもの髪型より、そっちの方が好きだなぁ』


「…しゃ、しゃけ…」
〈…Aが好きって言ってくれた…髪型のことだけど〉


少し恥ずかしそうに目を逸らす狗巻くん。


〈明日からも、この髪型にしようかな〉


『…この髪型の狗巻くんが良いから、また寝坊してね？』

「しゃけ！」


頷いた狗巻くんと一緒に、教室へ向かう。


「…んだよ、棘もイメチェンか？」

「おかか！」


さっき私に説明したときみたいに、時計を指差す。


「…へぇ〜」


〈棘のことだから、前髪のこと気にしてるAの為だろうな〉
〈好きな子の為に髪型まで変えるなんて、棘も乙女だな〜〉
〈棘くん、Aさんのこと気に掛けてるのかな…優しいなぁ〉


〈Aの為なんてバレたら、絶対みんなに揶揄われる…でも寝坊はすごく良い言い訳な気がする、みんな気付かないよね〉


少し自信あり気にしている狗巻くんに、思わず笑ってしまう。


残念ながら、みんなにはバレてるよ。

狗巻くんは、心なんて読めなくても、相当分かりやすいみたいだ。

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