16.優しい好意 ページ17
狗巻くんの腕の中で、私は緊張で息も上手く出来なかった。
〈A、温かい…離したくないなぁ〉
少しだけ速い鼓動が胸から伝わって、優しい心の声が頭に響いて。
心地が良くて、私まで離れたくなくなった。
それでも恥ずかしくて、私は彼の腕の中から抜け出した。
『…私、もう寝るね！おやすみなさい！』
「しゃけ。こんぶ〜」
「髪、ちゃんと乾かしてから寝ろよー」
真希ちゃんの言葉に頷いて、逃げるように部屋へ戻って行った。
誰もいない部屋に戻ってからも、顔の熱は引いていかなかった。
人に抱き締めてもらったのは、久しぶりだった。
あんなに優しい心の持ち主に好意を持ってもらえているのが嬉しくて、でも。
『…ホントのこと言ったら、狗巻くんにも嫌われちゃうかなぁ…』
彼の体温を忘れられないまま呟き、少し前のことを思い出す。
〈…あいつ、大人しいけど顔はいいし、押しに弱そうだから遊び相手に出来そう…〉
クラスメイトに心外なことを思われて、拒否する間もなく弄ばれて。
〈…初めは嫌がってても、女はみんな最終的に堕ちるのに。こいつ、何考えてんだ？気持ち悪ぃ〉
自分が好かれないことを私のせいにされて。
腹が立ってどうでも良くなって、私は彼に噛み付くように言った。
『私はあなたの考えていることが分かるけど、あなたは誰の心も分からないでしょ？…あなたが私に好かれないのを、私のせいにしないで…あなたの心の中の方が、よっぽど気持ち悪い』
「…は？」
〈こいつ、頭イカれてんのか…？いっつも一人だし、女友達多い美香とさえしゃべってもねぇし…ただのやべぇ奴だからだったのかよ。薬でもやってんのか〉
『薬なんてやってないし、美香さんとしゃべらないのは、あの人の考えてることが気持ち悪いから。内心では自分以外みんな見下してる人と、友達になんてなれない』
私に心を読まれたと理解した彼は、本気で気味が悪そうに私を見た。
「…勝手に心読んで、気持ち悪いって…ふざけんなよ。お前の方がよっぽど気持ち悪ぃよ、どっか行けよ」
思い出しただけで、涙が出てきそうだった。
もう、あんなことを言われるのは嫌だった。
『あの4人には、嫌われたくないなぁ…』
私は呟いて、眠りに落ちる。
あれだけ真希ちゃんが注意してくれたのに、髪も乾かさないままで。
真希ちゃんの言う通り、私は風邪を引いてしまった。
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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる！硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (
レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして！緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました！ずっときゅんきゅんしています！素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜！あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛！素敵な声〜〜〜!!凄く好きです！好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています！！大大大大ファンです！続きを楽しみに待ってます！ (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2021年2月21日 0時
