きらきら、きれい。 ページ42
･
『ここだよね』
硝子ちゃんの手書きの地図は、高専の中の地図だった。
校舎の裏庭のような場所。夏の暑い光が木陰によって遮られて、少し涼しい。
待ってるって言ってたけど、と辺りを見渡す。
視界の傍に白が揺らめいた。
『！』
緑の中に浮かぶような白。
サラサラと風になびく髪。
『悟くん』
そっとそちらに足を踏み出す。
悟くんは地面に寝そべって寝ていた。
胸が静かに上下している。
起こすのも悪いかな、と隣にそっと腰を下ろす。涼しい風がさわさわと頬を撫でた。
『…きれい』
悟くんはきれいだった。白い髪に負けないような白い肌。長いまつげ。
閉じられている目は見えないけど、青空よりもきれいな青。
こんなきれいな人が、私のことを好きと言ってくれている。
『…私も、』
昨日の晩に気づいた気持ち。
死にかけて最後に思い浮かべた顔は悟くんだった。
＿＿＿他の女の子が悟の隣にいたらどう思うか、考えてごらん。
傑くんのアドバイスが今やっとわかった気がする。悟くんが他の女の子の隣を歩いて、ニコニコ微笑んでいるのはなんだか嫌。これが、好きという気持ち。
『…私も好きですよ、悟くん』
起きてたらドキドキして返事なんかできそうにないから、私は小さくつぶやいた。
『なんか恥ずかし…わっ』
恥ずかしくなって顔に手を当て、そっと逃げようとしたとき。
後ろから思い切り手を引かれて私はボスンと転んだ。
「逃げんなよA。もっかい言って？」
目と鼻の先に、青。意地悪に微笑む悟くんの顔が見えた。
ブワッと顔が赤くなるのがわかる。
『起きてたんですか、』
「起きてた」
『どこから聞いてたんですか』
「きれい、ってとこから」
恥ずかしい。頬に手を当てるととてつもなく熱い。
体を起こした悟くんの膝の上に向かい合うように座らされる。逃げられないように、しっかりと背中に腕を回された。
『さ、悟くん』
「ん？」
『近い、です…』
「知ってる〜」
更にぐっと顔を近づけられる。
鼻と鼻がふれあう距離まで顔が近づいた。
悟くんの青い目がすぐ近くに見える。じーっと見つめられて、なんだか恥ずかしくなってギュッと目を閉じた。
「…あーもう…これはAが悪いからね」
『へあ、』
ふに、と柔らかい何かが唇に当たる。
びっくりして目を開ける。
すぐ近くに、目を閉じた悟くんの顔が見えた。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (12月15日 16時) (
レス) @page3 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。＿ねむみん。 - 凄く面白いしいい作品でした~!!作者さんってもしかして最強!?これからも応援してます!ステキな作品ありがとうございました!! (11月19日 11時) (レス) @page45 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
かけたま - こんなにも面白い作品を生み出すあなたは(^^)最強か？ これからも応援させて頂きます。 頑張って！！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: a9aad67263 (このIDを非表示/違反報告)
猫餅 - 体長が体調になっています。>"< (2021年8月11日 20時) (レス) id: 3a7b856aca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬ(プロフ) - 素敵な作品私ありがとうございました。とても面白かったです！ (2021年4月26日 11時) (レス) id: 7168c245e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宙
| 作成日時：2020年12月31日 14時
