検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:2,557 hit

三話 ページ5

建と佳は、取り敢えず気分転換でもしようと重々しい足取りでこの前行ったばかりのラーメン店に足を運んだ。

「今日、休日で良かったよな」
気休めにもならないような台詞でどうにか気分を持たせようとする建。
しかしそう口では言えても、気分は沈んだままであった。

店の戸を開けば、建と佳にとってよく知る人物がカウンター席で熱々のラーメンと格闘していた。
「はふ、はふ……や!休日でも会えるなんて運命じゃね?なーんてなー!」

佳と建の内心を知ってか知らずか、良く言えば陽気に、悪く言えば呑気にそんなことを言うのは建と佳が通う明高に通う同級生の板一ケレン(いたいちけれん)だ。
その名で察しが付くだろう、ケレンは日本人の父とロシア人の母…つまりハーフだ。
母親がロシア人と言うこともあってか、端整な顔付きをしていて女子にモテる。
ちなみに、ケレンはロシア語を話すことは出来るが得意ではないらしい。

「まーまー座れってー!」
「おう」
「そうだね、座ろう」
建と佳はケレンに促されて店のカウンター席に座った。

「にしても、相変わらずここ好きだなお前ら」
「そりゃあ、一番近いし安いし美味いし」
「店長、いつもお世話になってまーす!」

「あははっ、本当にお世話してもらってそうだな!」
そんなケレンのほとんど冗談で言ったであろう言葉に佳は激しく同意しているのか、首を大きく縦に振っていた。
「確かに、僕らの体はここのラーメンから出来ていると言っても過言ではないと思うよ」
「佳に同意だな」
そんな話をされて、ケレンは驚きつつも笑っている。
「本当にここ好きなんだな」
「まぁな」
「そりゃあね!」
「そうかそうか、お前らの思いはよーく分かった、じゃあ俺はこれから趣味をするので出るよ」

そんなことを言いながら、しっかりと金をジャストに収めて払う。
そしてそのまま建と佳に手振りながらラーメン店を後にした。


「なんか、ちょっと元気貰っちゃったな」
「そうだね……ケレンのお蔭で少し明るくなったよ」

二人は苦笑し合いながら、運ばれてきたラーメンを熱々と頬張った。

四話→←二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
10人がお気に入り
設定タグ:こきあ , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こきあ@鈴木家の母(プロフ) - いちごみルく。さん» 読みやすいですか?!ありがとうございます!頑張ります! (2021年12月17日 23時) (レス) id: 83905c476e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみルく。(プロフ) - とっても文章が読みやすくて続きが気になります!おうえんしてます! (2021年12月17日 23時) (レス) @page6 id: fb2070bc6d (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@鈴木家の母(プロフ) - 花橋りなさん» ありがとうございます!更新頑張らせて頂きます! (2021年10月10日 13時) (レス) id: 83905c476e (このIDを非表示/違反報告)
花橋りな(プロフ) - めっちゃ更新待ってます!あっ!イベント参加ありがとうございます!!高評価ポチっと!! (2021年10月10日 10時) (レス) @page2 id: 5c2392d27e (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@鈴木家の母(プロフ) - 無名。さん» お気に入り登録、コメント、評価、何から何までありがとうございます!更新頑張らせて頂きます!拙い文章ですがこれからもお楽しみ下さいませ! (2021年6月21日 21時) (レス) id: 44169c853d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こきあ | 作者ホームページ:  
作成日時:2020年4月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。