プロローグ ページ1
「建！一緒に帰ろう！」
烏の鳴き声が絶えず聞こえる教室内。
建と呼ばれた青年が、だるそうにゆっくりと、話し掛けてきた青年の顔を向く。
「何だ、佳かよ…あー、ったく…飯奢れよ？」
「勿論！いいよ！」
佳と呼ばれた青年は、満面の笑みで答えた。
二人の青年はチャイムの鳴る教室から出て、廊下で横に並び、昇降口に向かった。
上靴を脱ぎ、外靴を履く。
建と呼ばれた青年の名は
佳と呼ばれた青年の名は
どちらも私立
二人は性格反対の幼馴染みで、なんだかんだでずっと一緒にいる。
「いやぁー、この道を歩くのも何年目だろうね！」
更に烏の声が大きく聞こえるようになった道で佳は幼き日を思い出す。
「知らねぇよ。俺達が歩くことが出来るようになってからじゃねえの？」
「僕達、いつから一緒なんだっけ？」
「産まれてから病室のベッドで一個飛ばしで隣同士になって。そこからずっと」
「わあ！凄いね！18年も一緒なんだ！」
「まあ、普通の人はここまで一緒にはいないよな…」
心底うんざりそうに、建は隣の微笑みながら並んで歩く佳をなんとなく見て溜め息を吐く。
いつも行くラーメン屋と言う目的地に着く前に建と佳の家は建っている。
隣同士の家。
大きく手を振る佳に対し、建は片手をふいと挙げるだけで応える。
玄関のドアを開け、鞄を置くだけの作業も、二人はまるで同じだ。
ドアの鍵を掛け、二度の戸締まり確認。
二人はよく同じ作業を行うのだ。
それは双子のように。
「……財布は？」
「大丈夫だよ！」
「………そうか」
「Let’s go！」
二人の歩幅が合わないことはなく、ただ二人の揃った足音が耳に入る。
烏が一際大きく鳴いた。
佳は、目の前を歩く２つ結びの小さな女の子を見て、悲しそうな表情を浮かべた。
「………またか…ったく」
佳には、何かが見えている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こきあ@鈴木家の母(プロフ) - いちごみルく。さん» 読みやすいですか？！ありがとうございます！頑張ります！ (2021年12月17日 23時) (
レス) id: 83905c476e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみルく。(プロフ) - とっても文章が読みやすくて続きが気になります！おうえんしてます！ (2021年12月17日 23時) (レス) @page6 id: fb2070bc6d (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@鈴木家の母(プロフ) - 花橋りなさん» ありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！ (2021年10月10日 13時) (レス) id: 83905c476e (このIDを非表示/違反報告)
花橋りな(プロフ) - めっちゃ更新待ってます！あっ！イベント参加ありがとうございます！！高評価ポチっと！！ (2021年10月10日 10時) (レス) @page2 id: 5c2392d27e (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@鈴木家の母(プロフ) - 無名。さん» お気に入り登録、コメント、評価、何から何までありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！拙い文章ですがこれからもお楽しみ下さいませ！ (2021年6月21日 21時) (レス) id: 44169c853d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
