帰り道 ページ19
あの後焼肉屋に無事にたどり着き、
時間にも間に合った私達は、
お腹いっぱいに焼肉を食べた。
もちろん、宣言通り和哉のおごりで。
解散する頃にはもう時間も遅かったので、
それぞれ帰路についた。
和哉は帰り道でも、
サッと手を取って繋いでくれたり、
さりげなく車道側を歩いてくれたりして
今更なことなのに、改めてドキ ドキが止まらなかった。
｢ねえ和哉｣
和哉｢ん？｣
｢どうしてさっき私の家に来てくれたの？｣
焼肉屋に行く前の一件。
あの時、どうして和哉は私の家に来てくれたのか
それが気になっていた。
和哉｢ライン。返事なかったから｣
｢…あ。｣
和哉からのラインが嬉しくて今まで秒で返してたのが
今になって役に立つなんて思ってもみなかった。
返事が来ないことを異変に思った和哉は何度も電話をかけたらしい。
それでも出なかったため、心配になって家まで来てくれた…と。
和哉の優しさが久しぶりに実感出来て、
すごく嬉しかった。
ちゃんと、私の事が好きなのがつたわってきて
心に明かりが戻ってきたような感じがした。
｢…和哉。｣
和哉「好き。｣
｢え、｣
和哉｢…って言おうとしたんでしょ？｣
｢…バレた？笑｣
私が吹き出せば、和哉は顔に書いてあった。と私の頬を両手で包んだ。
和哉｢俺も。好きだよ、A。｣
｢…うん。｣
少し照れながら俯くと、
和哉は私の顔を、頬を包んだままの両手で上げさせて、
ぐっと自分の顔を寄せた。
…少しでも動けば、キスをしてしまいそうな距離。
その距離で和哉は、あの低い、私の大好きな声で呟いた。
和哉｢今夜、家誰もいないから。｣
その言葉の意味を悟った私は
｢…お邪魔します。｣
久しぶりに愛を確かめ合えるのが嬉しくて、
こくりと頷いた。
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作者名：咲希(ソヨン) | 作者ホームページ：
作成日時：2019年3月26日 13時
