拗らせ症候群。Mizuki.I (ページ17)

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「また図書委員？」

「うん、先帰っててもいいよ？」

「残るって言ってんだろ」

図書委員があるというと瑞稀が頬を膨らますのはいつものこと。

そしてそれに帰ってていいよと言うのもいつものこと。

そして瑞稀はいつも帰らず待っていてくれる。

申し訳ないなと思いつつ、瑞稀が帰らないのを分かった上で帰っていい、なんて我ながら嫌な幼馴染だなぁ…。

「頑張れよ」

「うん、ありがとう」

机に半分突っ伏しながら手を振ってくる瑞稀。

また後で、と手を振り返すとそのまま瑞稀の頭は机にくっ付いた。

「ごめんね猪狩くん、遅くなっちゃった」

「別に大丈夫っすよ。相変わらずガラガラだし」

「ほんとだよね」

いつも通り、人がほとんどいない図書室と、仕事がほとんどない図書委員。

使う人がいないんじゃ、本棚の整理なんてしても意味ないしそもそも前にやった時とほぼ変わってない。

カウンターでスマホを見たり本を読んだり、そんな自由な委員会だ。

「ガリさん、やっほ」

しばらくしてやって来たのは、スタイルがいいイケメンくんだった。

この子、見たことある。

よく猪狩くんと一緒にいる子だ。

確か名前は…、

「何しに来たの？作ちゃん」

そうだ、作ちゃんだ。

酷いなぁと笑いながらも作ちゃんさんは私に目を向ける。

友人の先輩がどんな人か、まるで品定めしてるみたいだった。

「戌井先輩、ですよね。作間龍斗です」

「あ…初めまして、」

「ガリさんと仲良い先輩なんてほとんどいないんでどんな人か気になっちゃって。優しそうな人でよかったです」

「あ、いやいや、こちらこそ」

「もー、んなことしに来たのかよ！帰れよ」

「猪狩くん、友達にそんな態度よくないよ」

「ほんとだよ？」

私の真似なのか、声を高くして腰に手を当てる作間くん。

…私そんなんじゃない。

「俺読みたい本あるから来たんだよ。お気になさらず〜」

大人しく本を選んで角の席に座って。

改めて美形だなぁなんて見ていると、隣から大きなため息が聞こえた。

自由奔放そうなお友達を持つと、猪狩くんも大変なんだなぁ。

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