恋する理由【Nino】 (ページ21)

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21:俺もページ21

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相葉君と大野君が帰ったあとの部屋は、やけに静かで。

カチャカチャと私が食器を洗う音と

リビングでブランケットにくるまるカズのゲームの音だけ。

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「何か飲む？」

和「んー・・・今いいや」

「じゃぁ、洗い物終わったらお風呂借りていい？」

和「あぁ、そうしな。くっせー体洗ってきな」

「・・・具体的にどこが臭いかいいなさいよ」

和「あーんなとこや、こーんなとこ」

「・・・ねぇ、いつもそうなの？」

和「な・・にが・・ってあぁもう、やられたわ(泣)」

「女に対して、そういう態度なのかってこと」

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そう聞くと、ため息をついてカズはコントローラーをほおり投げて

ローテーブルの灰皿とタバコを引き寄せた。

そして、ゆっくり火をつけてから振り向かぬまま、話し出した。

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和「やっぱお前もさ、アイドルとしての俺を期待するわけ？」

「どういう意味？」

和「にこにこ笑って、優しくて、ウィットに富んだ会話ができて・・・
ダンスもキレッキレで、歌もうまい＿＿」

「あーあーあー」

和「・・・言わせろや(笑)」

「・・・やだ(笑)」

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和「じゃぁお前もさ、元カレ？と付き合ってた時そんないじっぱりﾁｬﾝだった？」

「・・・ぃや・・・どうだろ」

和「でも今のお前が、素の本当のお前じゃん？」

「だ、ね」

和「嫌われたくなくて、どっか頑張るのって」

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フィルターから零れ落ちそうな灰を、白い指が灰皿に落とす。

ゆっくりとメガネをはずしてカズが振り向く。

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和「本当は、きつかったろ」

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そらせないままの視線が、ジワリと熱を持つ。

あの日パックリ割れた心の傷口が、また痛みだす。

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全て曝け出して愛し合えるなんて、思ってるよりも難しい。

どこかでそれなりの遠慮があって、それが程よく絡み合っていく。

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本当の気持ちは、最後まで伝えられなかった。

誰よりも愛してると、そう伝えるだけだったのに。

照れくさくて、むずがゆくて、愛しくて、切なくて。

降り積もった後悔の中で溺れそうだった。

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ゆっくりとまたその顔を画面に戻しながら、カズは言った。

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和「・・・・・俺もだよ」

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確かにそう、カズは言った。

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