恋する理由【Nino】 (ページ1)

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1:見知らぬ男ページ1

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：「ホンモノのバカっているんだな」

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・・・・・・・・・・・。

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：「まさに、空前絶後のバカ(笑)」

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首を右に45度きっかり動かす。

私から、3つ離れた一番奥の席をまっすぐ見る。

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私より少し遅れて来た記憶があるその男は

キャップをかぶったまま、ひたすら手の中の何かをいじってた。

時々揺らすグラスの氷の音で、いるっていうことがわかるくらいの存在感。

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そんな得体の知れない男に。

信じられないくらい猫背の華奢な男に。

色だって、ダウンライトに透けるくらいなまっちろい男に。

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「マスター。気のせいかな」

マ「んっ？」

「私今、見知らぬ男にバカって言われた気がするの」

マ「・・・いや、気のせい・・・じゃない(笑)？」

「そうよね。そーぅよね？普通、悲しみに暮れてお酒飲んでる女に
バカなんて言わないものね♪」

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わざと聞こえるように言ってスッキリ。

てか、もしかしたら独り言だったのかも。

うっわ、だとしたら本気でヤバイんじゃないのあの男。

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小指でそっと目じりに残った涙を拭う。

ここに座って何杯目かわからないグラスを、また傾けた。

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：「バカのヤケ酒(笑)」

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違う違う。

ただの独り言。

シカトしよう。

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：「そこの、髪の短いあなたのことですけど？」

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念のため、ゆっくりと右手を襟足にあてて

わかってはいたけど確実に短い髪を確認する。

その仕草を、喉の奥でこらえるように笑ったその男が

また小さい声で

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：「バカすぎ(笑)」

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そう言ってタバコに火をつけると

カウンターに肘をついて、こっちを見た。

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