【恋うた】Disc 1 (ページ10)

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その黒目は映されている自分がはっきり見えるほど透き通ってて、くっきりしている。

キレイな瞳だな…近距離で見るとまた嘆きが出る。

まつ毛も濃いし長げぇな…

「有岡さん？前髪まだ終わってないんですよ？もう少し瞑っててね？」

「あっ、すみません！」
やばい、また見とれてた…急に暑くなってきたし、顔赤くなってないかな…

「ふふっ、びっくりしましたか？僕もしょっちゅう年に見えないと言われてます。仲間ですね」

「そ、そうですね～でもギリギリって、誕生日近いですか？」

「はい、来週の土曜日です。あと一週間ぐらい同い年ですよ」
付いてる細かい髪を落とすのか、Kさんが撫でるように俺の前髪のところをぽふぽふしたら、

ドキっ、

えっ？俺、今ドキッとした…？

「はい、終わりました！」
目を開けると、鏡の中にかなりの短髪になった俺がいる。

後ろはこんな感じですが…と合わせ鏡で見せる。

おお、襟足を刈り上げている。やったことないけどなかなかいい感じ。
全体的にさっぱりしてて、気に入った。

これでやっとUNIONのキッチンという名の地獄から脱出できる…！

そう考えるだけで口角が上がる…！！

「スッキリしました！ありがとうございます！」

「気に入ってくれて良かったです！」Kさんはそう言いながらクロスを外してくれた。「ではワックス付けて仕上げましょうね」

「はい、お願いします」

ブローのやり方やセットする時のテクニックなどを、シルエットを微調整しながら細かく丁寧に教えてくれた。

でもごめんなさい。ほとんど聞いてませんでした。
なぜなら、自分の頭のあちこちを触っていじってるその手に見入ってたから。

指、細長くて白いな。
こういうの、なんて言うんだっけ…ああ、そうだ、白魚のような指、だっけ。

なんてキレイな手なんだろう。ピアノとかぜったい似合う。

ていうかそこのピアノ弾くかな…なんか気になる…

「……で、後ろは短めにしましたので、ボリュームを出したい時はしっかり乾かしてからワックスをつけたほうが効果が出ます…有岡さん？」

「え？」
やべぇ、一瞬魂がどこかへ行っちゃった。「あっ、はい、分かりました！」

雑な返事をしてもにこっと笑ってくれた。

「もしお家でセットする時困ったことがあったらいつでも連絡してくださいね」
何かアドバイスしますので、って。

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