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Letter43 ページ43



「Aは高2の時病気が発覚しました」


いきなり切り出した彼は早速爆弾発言をした。

「桜が原因の病でした。数少ない人しかかからない奇病です。特効薬もありません」

────ただ彼女は死ぬのを待つだけ




春が来れば潜むように生活をしなければならない


彼はそう言った。


でも僕の怒りの論点はそこでは無い。


「…じゃあ僕が付き合ってた頃から彼女は」

「そうですね。病気でした」


幼馴染のポジションでるぅとくんは彼女に信頼されてたってこと?

僕はまだ頼りないって?


「じゃあなんで教えてくんなかったんだよ!」



病院の中庭ということも忘れ、僕はるぅとくんの胸ぐらをつかんで怒鳴り散らかした。



「それはAが言ってたから」


"ころちゃんの前では強い女でいたかった"

…って。



「は?」


Aがそう言った?


「なにそれ、僕彼氏だったのに」


彼氏なんかより幼馴染の方が頼れたの?

僕と付き合ってくれたのも告白断りにくかったから?

それは無いよ…。


「でも変化に気づいてあげられなかったころちゃんも悪」

「煩せぇ!お前は良かったよな!幼馴染とかいう特別な存在で!」


知ってる。彼の方が正論を言っているだなんて。


でも認めたくない。
彼氏なのに頼って貰えなかった自分を。


彼女がるぅとくんといる時間が増えたのは病気について話していたりしてたからなの?


僕はそれを浮気と勘違いして1人嫉妬で狂死そうになって?



挙句の果て僕は大切なAを突き放した?


「僕は戻りますね。頭冷やしといてください」



そういった冷ややかな彼の指には黄色い宝石のついた結婚指輪が。


もし、僕が彼女の病に気づいていたら、もっと頼れる男だったら、優しい男だったら


彼女に指輪を嵌めるのは僕だったの?



今更後悔したって遅い。


「最初からAのこと嫌いになるなんて出来るわけなかったのに」


るぅとくんの元へ行った彼女を止めなかったのは僕だ。



彼女が自分の元に帰ってくるなんて自信はどこから来たものだったのかな。


春の風が僕に体当たりする。

遠くで桜が揺れている。

あれだけ桜が好きだったのに。


初デートも桜の下で、今日もAと桜の下で再会出来ると思っていたのに。





僕は彼女のお葬式に出なかった。Aが拒んでるように見えて。


そしてそのまま僕はこの街を出た。



彼女の香りのする愛おしい街にいるのが、


苦しくて辛くてたまらなかった。

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作品ジャンル:恋愛
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颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 空色さん» 素敵なコメントありがとうございます!とても嬉しいです◎沢山読んでくださったのですね!これからもどうぞ宜しくお願い致します。バドエンなのかハピエンなのか絶妙な所を狙っていたのでそう思って頂けて幸いです! (2021年4月20日 2時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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