Letter4 ページ4
・
『ころちゃん、駅まで来てくれてありがと！ 』
彼は地元民だから家から高校まで近いらしい。
なのにわざわざ駅まで来てくれるなんて…！
普段のおちゃらけとは打って変わって、なんて優男なの。
｢いや別に｣
…あれ。いつものヤケに高いテンションが、無い。
『ころちゃ？』
｢本当に彼奴彼氏じゃないんだよ、ね？｣
『…もちろん、幼馴染でございます 』
その日1日隣の彼はとても沈んで見えた。
折角朝も一緒に過ごせて私はハッピーだったのに。
彼と話せずもう放課後だよ…。
もう恋する乙女だね。私も。
おめでとう、乙女デビュー。
青髪の彼は何故か寝ていて、教室には私と君の2人きり。
いつしか漫画で読んだようなシチュにドキドキする。
『ころんくん…起きて…？寂しかった今日 』
部活生の声に紛れて私の声は溶けゆく、
────────そう思っていたのに。
｢…ばっ！お前…！｣
目の前には目を覚ました顔が赤い彼がいた。
『えっ、起きてたの！？ 』
ガタッと椅子を引き慌てて立ち上がる。
｢起きてたよ｣
私はいてもたっても居られなくなって、咄嗟に嘘をつく。
『あっ、あの、私るぅちゃん待ってるから帰るね！』
嘘なの！るぅちゃんは今日は勧誘で入った生徒会の初活動日だから一緒に帰れないって言ってた！
｢…また、あの男？｣
えっ…？
振り向けば彼の顔が近くにあって、でも避けることも出来ずに
────────抱き締められた。
音が、何も聞こえない。
世界に私と貴方しかいない感覚に陥るの。
私も背中に手をまわそうとした時。
2人の空間を引き裂く電話の音が鳴る。
そして間もなく彼────────
幼馴染のるぅちゃんは、私の教室を除く…
あぁ、来ないでよ、るぅちゃん。
もう生徒会、終わったの？
初めて心の中でるぅちゃんの存在を否定した。
その事実に胸が痛む。
あぁ、なんて醜い女、私ってば。
でも来ないで、という思いだけは強くなるばかり。
｢…もうちょっとだけ｣
だって彼奴彼氏じゃないんでしょ？
ただの幼馴染なんでしょ？
私を包む青色の彼はさっきからこの質問しかしない。
そして質問の数に比例して、彼の力が強くなるの。
こんな感覚、初めてなの。
きゅって、胸が苦しいの。
ねぇ、ころちゃん。
これが本当に恋なの？
もし、この感情が恋ならば──────
もう私は後戻り出来ないや。
完全に貴方に身を委ねたところで黄色い彼は私を見つけ出してしまう。
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます｡3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます｡1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います｡これを元に書籍化して欲しいくらいです｡颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです｡ (4月1日 3時) (
レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム･.｡*･.｡*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・！大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム･.｡*･.｡*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…！ (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん！素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯桜 | 作成日時：2020年3月1日 20時
