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詰められるだけ詰めたトランクを引きずりながら、窓際の指定席に座ると
親父とオカンが、ホームから手を振っているのが視界に映った。




見送りはいらんって言ったのに、それでも健気に手を振っている両親に小さく手を振り返すと静かな女性のアナウンスが流れて
ゆっくりと景色が動き出した。



両親の姿がだんだん遠くなって行くのを見つめながら、これから先、まだ見ぬ未来へと進む新幹線に身を委ねる。


結局、誰にも何も告げぬまま、地元を去る。


特に強い思い入れのない故郷の景色がどんどん移ろう窓外を眺めながら
やっぱり思い出してしまうのは彼女の顔だった。
 



何も告げぬ去った俺のことを、どう思ったかな。酷い奴やって、嫌われたかな。


…告げなかった、というよりも
告げられなかった、という方が正しいのかもしれない。


もし言ったら、彼女は傷ついた顔をしただろうか。
それともあっさり受け入れられて、「がんばってね」なんて言われて、爽やかな笑顔で見送られたのだろうか。


どちらにしろ、彼女の反応を見るのが怖かったんだ。



まったく、自分で下した決断なのに
そんなことばかりを考えてしまう。



新幹線は徐々にスピードを落としていき、京都駅のホーム到着のアナウンスが流れる。


くたびれたスーツに身を包んだ男が軽く会釈して、隣に腰掛ける。

男は座るなり、大きなあくびを1つすると
そのまま天を仰ぐように顔をあげたまま眠った。


すぐに、相当疲れていることを物語るようなイビキをかきだしたその男に背を向けて自分も目を瞑った。





預けた2枚の映画チケットと共に置いてきたのは、未練なんだろうな。



それでも前に進むしかない。

やっと乗り込んだ船が沈まぬように、
必死で漕ぎ続けることしかできない。



隣の男のイビキがますます大きくなる。

こいつも東京まで乗るんやろうか。
そうだったら、最悪やな。


プシュー、と空気を吐き出して、新幹線は
ほんの少しの青春時代を置きざりに
未来へ向かってまた動き出す。

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設定キーワード:関ジャニ∞ , 大倉忠義 , 錦戸亮   
作品ジャンル:恋愛
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あくび(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです。これからも面白いと思ってもらえるよう、頑張って更新しますので是非、結末がどうなるか見届けてください(^^) (11月2日 23時) (レス) id: 780a2f1a45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この話が本当に面白くて毎日の日課です^^これからも更新楽しみにしています!!私的には大倉くんで結末があるほうがさらに楽しみです(^^) (11月2日 20時) (レス) id: cc42456779 (このIDを非表示/違反報告)
あくび(プロフ) - megumonkeyさん» はじめまして、とても嬉しいお言葉ありがとうございます(TT)結末は決まっていて、それに向かってチマチマと書いているので、是非これからも更新楽しみにしていてください。 (10月30日 22時) (レス) id: 780a2f1a45 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - はじめまして。ステキなお話で楽しみに読んでます。大倉くんと錦戸くん、どちらとくっついてしまうのかドキドキで、更新が楽しみです (10月30日 10時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あくび | 作成日時:2020年10月27日 22時

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