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「…商店街の中のお店がね、シャッター閉まってるところばっかりだったの」


大倉くんは視線だけを私へ移す。


「テスト前によく通ってたコーヒーショップは潰れてて、女子高生はもうルーズソックス履いてないし、アユもアムロちゃんも話題に上がらない。
この街は変わってないように見えて、いろんなことが変わってる」


大きく息を吸って、吐き出す。


「私はずっと過去に囚われて、すがりついてた。人が変わるのは当然なのに、自分も高校生のときからずいぶん変わったのに
大倉くんが変わったのが許せなかった。
私の思い出の中の大倉くんを、押し付けてたんだ。そんなの、エゴだよね。自分勝手だよね」


東京ドームから帰った夜
この街に向かう車の中
バスの中、何度も繰り返し練習していた。
次会ったとき、私の気持ちをあますことなく、すべて伝えられるように。



「私のこの街の楽しい思い出には、ぜんぶ大倉くんがいたの。放課後の教室でおしゃべりしたのも、雨の日の帰り道も、駅前で食べたアイスも
ぜんぶキラキラしてた」


ずっと、考えていた。
終わらせられなかった想いに終止符を打つのは、自分しかいないってこと。


「自分の本音を言ったのも、気を遣って意見を合わせなくていいのも、大倉くんだけだったの。
今も昔もそれは変わらない。
あの頃、大倉くんの前にいる私が本当の私だって感じてた。
だから、なんてことない日常が愛しかった。
あの頃の私のすべてだった……
大倉くんが、好きだった」


言葉にするのがずっと怖かった。


16歳のころ
言ってしまったが最後、穏やかで大切な日々と共に心地いい距離感が壊れてしまうような気がして怖かった。

26歳のいま
「好きだった」。そう過去にしてしまうことで
ずっとしこりのようになっていた感情が本当に終わってしまうような気がして怖かった。



だけど、もういい加減
前に進みたいから。


「10年ぶりに再会して分かったことは、大倉くんにとっては通過点の1つなんだってこと。この街も、私も」


大倉くんは何も言わない。


じりじりと身体の右半分を焼き尽くすような
鋭い視線だけを感じる。


「もう、私の好きだった大倉くんも、あの頃の私もいない。だから過去を押し付けたり、探したりしない。こないだはごめんね」


まっすぐに大倉くんの顔を見て
脳内で練習したように、笑ってみせた。


最後は、笑顔で終わりたかったから。

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設定キーワード:関ジャニ∞ , 大倉忠義 , 錦戸亮   
作品ジャンル:恋愛
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あくび(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです。これからも面白いと思ってもらえるよう、頑張って更新しますので是非、結末がどうなるか見届けてください(^^) (11月2日 23時) (レス) id: 780a2f1a45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この話が本当に面白くて毎日の日課です^^これからも更新楽しみにしています!!私的には大倉くんで結末があるほうがさらに楽しみです(^^) (11月2日 20時) (レス) id: cc42456779 (このIDを非表示/違反報告)
あくび(プロフ) - megumonkeyさん» はじめまして、とても嬉しいお言葉ありがとうございます(TT)結末は決まっていて、それに向かってチマチマと書いているので、是非これからも更新楽しみにしていてください。 (10月30日 22時) (レス) id: 780a2f1a45 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - はじめまして。ステキなお話で楽しみに読んでます。大倉くんと錦戸くん、どちらとくっついてしまうのかドキドキで、更新が楽しみです (10月30日 10時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あくび | 作成日時:2020年10月27日 22時

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