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「んで？相談したいことって？」
大学の中庭、人気のないベンチに腰をかけながら、さっくんは早急に尋ねてきた。
名前を伏せて話したところで煩わしいだけだ、と思った。
さっくんは二人のことも知ってるし、全部一から十まで話した。
目黒への気持ちを仕舞って、康二くんを好きになりたいと思ったこと。
康二くんへの気持ちが大きくなっていく一方で、捨てきれない気持ちが同時に生きていること。
目黒が本気で向き合って、好きだと伝えてくれたこと。
頭をポリポリかいて、何かを考えているさっくんの第一声は私を貫いた。
「誰も傷つけたくない、ってさ、それはAのエゴだよね。自分が傷つけた、って思われるのが嫌なだけでしょ。」
あまりに本質を捕らえたその刃は、偽善だらけの私を八つ裂きにでもするのかと思うくらい、鋭いものだった。
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作者名：平野 頼凛
| 作成日時：2019年9月21日 13時
