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部屋の中では。
「ちょ、」
「そっとしといたって。蓮くん、ちゃんと言うたんやろ？」
「それは…。」
「Aちゃんには時間が必要やねん。これ以上なんか言うと、心がもたんわ。」
「康二くんってさ、ほんと、バカだよね。敵に塩を送るなんて。」
「…俺はAちゃんの味方なだけや。」
そんなやり取りが二人の間にあったことを私は知らない。
五分くらい経っただろうか、平静を取り戻した私はそっと部屋に戻る。
部屋では青椒肉絲の準備をし始めた康二くんと、ゆったりとくつろいだままの目黒。
「おかえり。一緒に作ろっか。」
ふわりと頭に触れて、優しく撫でられて、この手に何度救われたんだろうって考えた。
『ちゃんと話したよ。でも…』
「大丈夫。今は何も言わんでええ。」
そうやって自分を押し殺して、私を一番に考えるこの人を、一人にすることができるの？
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作者名：平野 頼凛
| 作成日時：2019年9月21日 13時
