▶マッドスマイル (ページ26)

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笑顔が25こページ26

『ねぇ、お兄さんずっと苦しそうやけど大丈夫？休憩の時間欲しくない？』

Aがスパイの前まで来ると、膝を折りちょこんと座りながらスパイへ尋ねる。

スパイ「ふん。苦しめてるのはお前らだろ。よくもそんな抜け抜けと」

スパイはギロリと睨みつけるが、Aの表情は変わらず笑顔のままである。

『ここまで頑張ってるやん？やからご褒美をあげたいなって。そうしたら貴方も笑顔になるし、気分が良くなって情報言ってくれるかもしれへんし……一石二鳥やん？』

スパイ「ふん……ここから出してくれと言っても無理なんだろ」

ケッとスパイは言葉を吐き出す。

『ここから出すのは無理やけど……出て何がしたかったん？』

相変わらず場にそぐわない穏やかな雰囲気でAは続ける。

スパイ「俺には家族がいるんだ。最後に会いたかったんだがな。こんな事を言っても出してはくれないのだろう？」

スパイもまだ余裕があるらしく、楯突くように話しを続ける。

スパイ「お前達のような戦争しか頭にない奴には分からんだろうな、家族の素晴らしさを。俺はな、家族さえいれば拷問だろうがなんだろが耐えれるんだよ。だから本当の負けはお前たちだ」

あわよくばこのまま敵の怒りに触れ、その勢いで殺してくれれば、この地獄からすぐに抜け出せる。そう考えたスパイはA達を煽る。しかしスパイの思惑通りにはいかず、Aはポンと手を叩くとキラキラとした笑顔で立ち上がる。

『そうか！家族って素敵やんな！！私も家族大好きやねん！姿を見るだけで笑顔になれるもんなー。そんな基本的なこと聞いてごめんな？ありがとう！！』

そう言うと、ショッピと添加物に「少し外に出てくるから、ちょっと見張っといて」と伝え、スキップをしながら扉を出ていった。

廊下に出ると大先生にインカムを繋げる。

『スパイさんの情報どう？』

ut「あらかた集まったで。いつでもウェルカムや」

その言葉を聞き、Aは更に上機嫌になる。そしてパタパタと廊下を走って行くのであった。