朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ33)

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三十三、ページ33

「まさか。主殿は寝ぼけていらっしゃるのですか。ちゃんと送り出したではありませんか」
「なんでよ。池田屋はとっくに攻略済み。明石も来たし。一期こそそうでしょ。それに……」

なんでそんなにきっちりと武装をしているの。
そう訊ねると一期は黙った。
甘い密色の目がきらりと光った。
それが一瞬だけ、妖しく、赤く光る。

「笑えませんな」
「ほんとにね。その右手を戻しなさい」
「……仕方ない」

一期が太刀を抜く。
そのまま私に襲いかかろうとする。
私は飛ぶように後ろに下がり、机から短刀を取り出した。
ぐっ、と握ると力が沸き上がる気がする。
一期の目は、真っ赤だった。
最早疑いようもない。

「総員直ちに起床！歴史修正主義者を殲滅！一兵たりとも残すな！」
「っ……」
「主命とあらば」

瞬時に障子が空いたかと思うと、真っ二つに切り裂くかの如く切りかかる。
一期……もとい時間遡軍はがくりとその場に崩れ落ちる。

「主、無事ですか」
「平気。長谷部機動速すぎ。私が言った瞬間着たでしょ。ジャージのまんま」
「寝巻きか内番姿で襲撃を迎え撃つしかないので」
「まあそうなんだけどね……たぶん外もうじゃうじゃいるよ、これ」