朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ27)

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二十七、ページ27

言った直後、一期と私の関係に気づいたらしく、ばつが悪そうに謝る。
私は、いいよ、平気、と言ってから少し考える。
そう言えば、最近出陣どころか内番さえもあまりさせていないなあ、と思い当たる。
……近侍くらいは、いいかな。

そう思い顔を上げると、声が響いた。

「主殿、私を忘れないでください」
「！」
「主？」

はっ、と我に返ると、目の前には鯰尾が怪訝そうな顔で私の顔を覗き込んでいる。
なんでもない、それよりそろそろ夕餉だよ。と鯰尾を執務室から出して、頭をおさえる。

……今の声、一期だった。
もしかして、一振り目？
いや、そんなはずはない。
一振り目は、私が見た通り、真っ二つに折れて、今は、あの箱に＿＿＿

あの、箱？

慌てて机のたんすを引き、箱の中身を見る。
中には、あの短刀が入っていた。
良かった、と思ったが同時に、怖くなった。

……この短刀のせいで、私はなにかに縛られている？
息を呑んで、それを見つめた。