朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ23)

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二十三、ページ23

「それで、その花言葉がどうかしたのかい？」
「花言葉ってね、明るいもの、切ないもの、暗いものまで沢山あってね。これ、いち兄に話していいのか分かんないんだけど」

ちょっとそういう感じの話で、と渋る乱。
そこまで言われてしまったら、先が気になってしまう。
いいよ、遠慮なく言ってごらん、と促してみる。

「……前にいたいち兄が折れた時、主さんはすごい悲しんだの。泣いて泣いて、泣き疲れて寝て、起きた時にね、紙と一緒に花が添えられていたんだって」

ホースでまかれる水が、きらきらと輝く。
乱はそのまま話を続ける。

「その花は勿忘草って言うんだって。それで、紙にはこう書いてあったの。『私を忘れないでください』って」
「……」

黙る私に、乱は自分の考えを交えつつ次々と話す。
明らかにいち兄の筆跡だったって言ってた。言霊ってあるでしょ？と。

「……」
「ボク、思っちゃったんだ。主さんは、いち兄の言霊に囚われてるんじゃないかって」

そうすると、しっくり来ない？
そう言われ、私は、愕然とした。