朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ20)

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二十、ページ20

「……」
「……あの、一期」
「これ、少しの間拝借してもよろしいでしょうか」
「え？」
「少し、じっくりと読みたいもので……」
「……そ、そうか、構わんよなあ、歌仙」
「ああ、構わないさ」

丁寧な字で書かれたそれは、明らかに、主殿が書いた日記だった。
こんなものを残していたのか。
私が顕現された日から、ぱったりとその日記は途切れている。
……そこまで、引きずるのか。

鶴丸殿と歌仙殿は、私のことを考えて気遣ってくれたのだろう。
傷つくだろう、と思ったのだろうか。

「お気遣い、ありがとうございました」
「あ、一期、これからどうするんだ？」
「久しぶりに出陣です」
「そうか。頑張れよ」
「行って参ります」

日記を持って、歌仙殿の部屋から去る。
とりあえず日記を自室に置いていこう。
そう思い自室に向かうと。

「……一期」
「主殿」

ばったりと主殿と会った。
何故かふたりとも立ち止まって、黙る。