朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ13)

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十三、ページ13

「お前は随分と大変な立場にいるな」
「……本当に」

自嘲するように呟くと、また鶯丸殿は茶を飲んだ。

「俺は、主と一期がこの先どうなろうとまあいいんだが……細かいことは気にしない質だしな」
「貴方はいつでもそういう人ですね……」
「でもな、近々良くないことが起こりそうだ」
「え？」

驚いて鶯丸殿に目をやる。
その目は、相変わらず何を考えているのか読めなかった。

「一期と主だけの話じゃない、もっと大事だ。少し、用心しておいた方がいいかもしれない」
「……貴方は、そうやって静かに見守る刀でしたね」
「鶴丸らのように首を突っ込むのはどうも慣れない。自分の悩みは自分が解決すべきだろう？」

そう言いつつも、何だかんだで相談を聞いてくれたりする鶯丸殿の優しさに、うるりと来てしまった。
その、出来れば大事がどういうことなのかもっと聞きたかったが、この人のことだ、うまくはぐらかされてしまうだろう。

「ありがとうございました。片付けてきます」
「そうか。気が向いたらまた来い。相手くらいはしてやれるからな」
「はい」

「……主に告げるのも、酷だな」

鶯丸殿の小さな呟きは、私の耳に届かなかった。