文月の出会い【刀剣乱舞】 (ページ10)

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拾、ページ10

しばらく放心状態だったが、ぱっと起き上がって私は言った。

「でも、それだけじゃないんでしょ？一期さんが話したいこと」
「え……よくお分かりですね」
「なんてったってきみたちの主だからね！記憶ないけど」

では……と一期さんは刀を鞘に戻す。と同時に姿も元に戻る。
今更だが自宅とはいえ家の中で抜刀は普通に危ない気がする。夜だからカーテンしめてて良かった。

「主殿は、狙われているのです」
「……誰に？」
「近頃、歴史修正主義者がまたちらほらと現れ始めたと聞きました。そして彼らは、皆一様に貴女を狙っている」
「ふむ」
「恐らく、審神者としての力を持つ貴女を始末したいのだと思っているのでしょうが……」
「肝心の大将は力を失ってる、ねえ。しかもその間の記憶なし」

薬研くんがソファに座りつつ腕を組んで呟く。その姿を見て思った。
きみは本当に短刀なのか？

「でも審神者として力のない貴女は、一度狙われてしまえばあっという間に潰されてしまいます。それこそ短刀相手でも」
「うん」
「だから、しばらくは私たちと生活を共にしていただきたいのです」
「うん……んん？」

生活を、共に。１つ屋根の下。
……これは大変なことになってきたぞ。