プラトニック・ラヴ【及川徹】【完結】 (ページ11)

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「及川さあああん」
「卒業しないでくださああい」
「はいはい泣かないで」

その様子を遠目から見ていると、岩泉さんが声をかけてきた。

「行かなくていいのか」
「……いいんです」
「……ったく。及川もお前も心底面倒くさいやつだよな」
「めっ……！」
「ほら」

ひゅっ、と岩泉さんが何かを私に投げた。
慌てて受け取ると、それはボタンだった。

「……え」
「及川に渡された。そういう厄介事に巻き込まないで欲しいのは山々なんだが……第二ボタン、だとよ」
「えっ」

慌てて及川さんを見やると、「第二ボタンないんですね？」「ああ、ちょっとね」「お、及川さんの彼女……？」と周りの女子たちがざわついているのが見てとれた。
ちょ、ちょっと待ってよ嘘でしょ。

「こ、これって」
「あー俺に聞かないでくれよ。恋のキューピッドになりたくねえし。自分で聞け」
「……」

その日、渡された第二ボタンを見つめる内に終わってしまった。
結局、彼に話すことが出来ないまま、彼は東京へと向かった。