氷 の 外 で

共依存/Yuzuru [歪愛] ページ7

彼は真面目だ。
それ故に、恋愛にも真面目すぎる。
最初は少しの嫉妬から始まって、今ではもう依存のようになっていて。

結｢俺ね、Aのために頑張るから。だから、俺以外のとこ行っちゃダメだよ｣
悲しそうな顔で、私をぎゅうと抱き締めた。
世界的に人気な彼が私に頼っていることが嬉しくて、二人して深みに溺れる。
｢結弦も、私以外のこと見たらダメだよ｣
私もぎゅっと抱き締め返した。

結｢当たり前。引退しても、Aが望むならスケートも続ける｣
｢...スケートは良いから、私だけを見て欲しいな｣
結｢今もAのことで頭いっぱいだよ。離れる度に毎日毎日不安になる｣
結弦はまた低い声で呟く。
日に日に増える連絡が、それを物語っている。
｢私も。ほんの少しの練習の時間も、嫌になっちゃう｣
私も声を落として、わざと意地悪くそう言う。
彼は私を活動拠点まで連れてきてくれた。私も快く着いてきた。
結｢Aが一番可愛い。俺、Aが居ないとなんも出来なくなっちゃうからね｣
｢結弦が私の元から離れたら、私は死んじゃうなぁ｣
結｢絶対離れないから。もし死ぬ時は、一緒に死ぬし｣
そして、ふたりでふふっと笑う。
瞳から光が消えていた。

私は彼のために。

彼は私のために。

それが私達の存在意義で、ふたりでひとつみたいなもの。
これからも、ずっと一緒。

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