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リンクから上がり、休憩室まで行く。
時計の針は午前の二時を指し、どれだけ自分がリンクに居たかが丸分かりだった。
昌磨は私に暖かいココアを買ってきてくれて、リンクの上で冷えていく一方だった私の身体はじんわりと温まる。
宇｢何時間も練習して、サルコウは飛べた？｣
昌磨は小さいテーブルに肘をつき、私の方を怖い顔で見据えた。
私はたじろいだが、すぐに歯を噛み締めてから口を開く。
｢飛べないよ。何回飛んでも、悪いところの改善は出来てるのに一向に飛べない｣
ココアの缶をギュッと両手で包んだ。
固いそれは、私の怒りを拒んでいるようにも感じる。
宇｢明日の練習は休んでなよ。その怪我でやるとか言わないよね？｣
有無を言わせぬその声は、彼をトップアスリートだと感じさせるような威圧。
｢皆このくらいの怪我してるし、もっとひどい子だって居る。見ててジャンプが飛べるわけないでしょ｣
私がそう反論すると、昌磨は髪で隠れていた目をゆっくりとこちらに向けた。
怖かった。
蛇に睨まれた蛙、蛇どころじゃないその瞳。
ギラリと鋭い視線と、低いは？という声が私に投げられる。
宇｢Aに必要なのは練習じゃなくて、休憩だって言ってんの。まともに寝てない上に食事の量も減ってる｣
昌磨はマシンガンのように饒舌に喋った。
私は目を見開く。
宇｢精神的に焦ってるんでしょ？いったん頭冷やしなよ、大会まではまだあるんだから、確実に飛べるようにするの｣
｢でも｣
宇｢我武者羅に練習すれば良いわけじゃない、Aがそう言ったんだよ｣
昌磨の目は優しかった。
そして悲しそうに歪められ、か弱い声で
宇｢お願いだから、休んでよ｣
という叫びが聞こえる。
私はハッとした。
昔の昌磨みたいだ、今の私は。
身を滅ぼすような練習はしない、そう約束したじゃない。
｢...分かった。明日は皆の練習見て大人しくしてる｣
私がそう告げると、昌磨は嬉しそうに微笑んだ。
優しい、いつもの昌磨。
宇｢じゃあ手当するから、医務室来なよ｣
昌磨はその後も不安定な私に安心出来る言葉をくれた。
荒んでいた心が、癒えていくのを感じる。
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琥珀糖(プロフ) - ぬさん» リクエストありがとうございます。とても素敵なネタですね！頑張って書きます。これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (
レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - astroyuzさん» コメントありがとうございます。主の性格には特に気を付けましたので、そう言って貰えると嬉しいです！これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - 昌磨君と幼なじみのスケーターさんでエキシビで昌磨君にプロポーズされる小説お願いします (2018年3月30日 8時) (携帯から) (レス) id: b271d24507 (このIDを非表示/違反報告)
astroyuz(プロフ) - 男主のお話がとても好きです。いい男なんだろうな、と楽しく拝読いたしました。ヒロイン嬢もおかわいらしく、癒やされました。この先の更新も楽しみにお待ち致しております。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: afb95e6422 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - なほなりさん» コメントありがとうございます、気付くのが遅れて申し訳ございません！そう褒めてもらえるととても嬉しいです！これからよろしくお願いします。 (2018年3月16日 17時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀糖 | 作成日時：2018年2月25日 22時
