３川上さんと…？ ページ3
「ほら、好きなもん頼み」
手を取って、歩かせてみたらわかったことがいくつかあった。
そのうちの一つが、こいつはまだ小さな子供だったってこと。それと、女の子。
熊の人形とほぼ同じくらいの背丈しかないうえに、超薄着。
俺の羽織ってたコートを着せようとしたが、大きすぎて意味がないこともわかっていたので、そっと抱え込み、連れて行った。
最初の方は小刻みに震えていた体も、次第に震えは収まり、人並みの温かさを身に着け始めたところで、店についた。
個室のある洒落たこの店は、クイズノック御用達の店で。２４時間営業。
オフィスに泊まるときの夜食はいつもここで頂いている。
「いらっしゃいませ。―――お呼びください」
必要なことだけを告げ、奥へと戻っていく店員を見送り、向かい合った席に座っている女の子へと目をやった。
彼女は、相変わらず、熊を顔の前に設置しており、俺と目を合わせようとはしない。
「今日、どこ行くつもりやったん？」
「どこにもいかないよ」
「あそこにいるつもりやったんか？」
「そうだよ。あそこで……」
「君。名前は？」
「くま、だよ」
「ちゃうわ。熊さんやのうて」
「それお兄さんがきくの？」
声色が変わった。
澄み切った声は耳にしていて心地が良かった。
「……俺は、川上」
「そう、じゃあ……こぐま」
「名前やないやん」
「名前だよ」
「どこから来たん？」
「子供がいっぱいいるとこ」
「戻らんで心配しとんのちゃうか」
「おにいさんは、ぼくをもどそうとするの？」
片目だけこちらをまっすぐ見つめて、唇は一ミリたちとも動かさずに、問うてくる。
「話による」
「そう」
会話はここで終了したが、気まずい空気は流れなかった。タイミングよく店員がラストオーダーの時間だと、顔を出したのだ。
俺は適当に、子供が食べそうなもんとコーヒーを頼んで、店員の姿を見送った。
「……ひとばん、とめてくれない？」
「ヤだ、と言ったら？」
「お兄さん、そう言う人には見えないケド。……まあいいや。あの場所に戻るかな」
「何で戻りたくないか、理由聞いてもええ？」
「グ_ロいもの苦手？」
「平気」
「そう、じゃあこれみて」
がばっと、服の袖を上げて真っ白な腕を見せる。
そこには、この所、世論を騒がせている事件の共通点である赤黒い痣の数々。
ここまでくれば聞かなくてもいろいろと想像ができる。
「……そっか、俺んち来る？」
気が付けば、そう発していた。
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瑞西（シャラルー☆）(プロフ) - ゆのさん» わわ…っ、ありがとうございます！確かに、主人公ちゃんは可愛らしい（真顔）素敵なパワーをいただけたので、さらに良いものを提供できるよう頑張ります(*´▽｀*) (2019年12月25日 18時) (
レス) id: 705dc09b7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 主人公が可愛くて、お話も素敵で、情報の管理もしっかりされていてすごいと思います！お話楽しみに待っているので、作者さんのペースで頑張ってください！応援しています(p｀･ω･´q) (2019年12月25日 9時) (レス) id: 6ede61fc28 (このIDを非表示/違反報告)
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