彼氏と大喧嘩したのでとりあえず家を飛び出した話【 松田陣平 】

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松田に電話をかけて、まだ松田が警視庁にいることを確認した後、適当にタクシーを拾って警視庁へ向かう。


運転手さんに急いでもらうように言いながら、さっき降谷に言われた言葉を思い出す。




『 ……私の勘違い、だったんだよね 』




降谷の話を聞く限り、この喧嘩は私の早とちりで起きてしまったもの。……つまり悪いのは私で、松田は全く悪くない。



……私から松田に、謝らないと。





「 お客さん、着きましたよ 」



『 …！ありがとうございました！ 』





運転手さんにお礼を言ってお金を払うのと同時にタクシーを飛び出し、警視庁に駆け込んだ私。



そして周りの目線など気にせず、捜査一課へと続く道を全力疾走。



すると見つけた、黒いスーツを身にまとって歩いている、大好きな大きい背中。

そして私は、その背中に向かって勢いよく飛びついた。





「 ……？！…A？！ 」



『 ──っ陣平！！ 』



「 ！！ 」



『 ごめんなさい、っホントにごめんなさい！！ 』



「 …！ 」



『 あの日のこと、全部降谷に聞いた…！！

私ね、勘違いしてたの…！あの日、陣平が記念日忘れて帰ってきたんだって思い込んで、ついカッとなっちゃって…！！

…っでも本当は、陣平は覚えててくれてたんだよね…っ 』



「 ……っ、 」





溢れてくる思いを全部伝えようとするけれど、感極まって上手く言葉にすることができない。



でも、それでも。松田に──陣平に私の思いを聞いて欲しくて、懸命に言葉を紡ぐ。





『 私っ、いつもいつも陣平と喧嘩してばっかりだから、記念日くらいは素直になろうって思ってた…！

っでも結局、いつも以上の喧嘩して、家飛びだして、色んな人に迷惑かけて…っ、

素直になるどころか、最悪なことになっちゃって…っ 』



「 ……っ、A 」



『 だから私…っ、ホントに…っ、…？！ 』





陣平を抱きしめていた腕に力が籠るけれど、そんなのまるで関係ないとでも言うように、くるりと体の向きを変えて真正面から私を抱き締め返した陣平。



突然のことで思わず体が強ばり、言おうとしていたことが全て飛んでしまう。



けれど陣平は、そんなのお構いなしに私の後頭部に手を回し、さらに私を抱きしめている手に力を込めた。





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