彼氏と大喧嘩したのでとりあえず家を飛び出した話【 松田陣平 】

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『 ……ごめん。……それから、助けてくれてありがとう。 』



「 ……おう 」





不可抗力とは言え、松田に抱きつく形となってしまったことで何よりも気まずさが勝り、慌てて松田から離れた私。



それでもやっぱり、謝罪やお礼をしない訳にはいかないので簡潔に告げて早々にその場を離れ……ようとしたのだが。



それは松田に腕を掴まれ阻止されてしまう。……あれ、なんかデジャヴ。





『 ……じゃあ、私そろそろ── 』



「 ──待てよ 」



『 ……なに？ 』



「 ……お前も、知ってんのか 」



『 ？？なにを？ 』



「 俺たちが、……別れたって噂 」



『 ！！……うん、知ってる 』





まさかの話題を振られ一瞬動揺してしまうものの、なんとか平静を装って返事をする。



……だけど、緊張からか少し手が震えてるから、きっと松田にも伝わってしまっているはずで。





「 ……お前は、どう思ってんだ 」



『 …この噂のこと？ 』



「 ああ 」



『 ……変な噂、だとは思ってるよ 』



「 変な噂？ 」



『 ……なんでそんな、確証もない噂流すんだろう、って 』



「 ！！ 」





私のその言葉に驚いたのか、今まで少し俯いて話をしていた松田がハッと顔をあげる。



……今まであんまり見たことない、眉毛を下げて困ったような顔をして。





「 っ、それって、 」



『 ……松田は？…どう、思ってんの 』



「 …俺だって、納得してねえよ 」



『 …… 』



「 俺はこのまま、───お前と別れたくねえ 」



『 ……っ！！ 』





今度は私が驚く番。



私の腕を掴む力をぐっと強めると、まっすぐこっちを見つめたままそう言い放った松田。



───私も、別れたくないよ



そう伝えるために口を開いたものの、それはほぼ同時に鳴り響いた私のスマホの着信音によって遮られてしまう。



電話をかけてきたのは……コナンくんだ。





『 ……ごめん、電話 』



「 …おう 」



『 ──もしもし？コナンくん？ 』



〈 永瀬刑事！今、大丈夫？ 〉



『 ……うん、大丈夫だよ。…それより、急にどうかした？ 』



〈 あのね、ボク、わかったんだ！──永瀬刑事と松田刑事が喧嘩した理由！ 〉



『 ……！！ 』





ふと、この間の出来事を思い出す。



まさか本当にあのヒントだけでわかってしまうなんて。



コナンくんに呼び出された私は、指定の場所に向かうため、松田に断りを入れて警視庁を飛び出した。





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