怪 盗 さ ん と の 恋 物 語【 紺青の拳 】

. ページ8

.




「 あっ、そうだ、わたしもお父さん見てくるね！ 」

『 りょーかい 』




蘭も小五郎のおじさんの所に行ってしまったので、

アーサー・ヒライの名前の由来を新一に聞いてみることにした私。




『 ねえアーサーくん 』

「 …んだよ 」

『 アーサーくんの名前の由来ってなんなの？ 』

「 ああ…アーサー・コナン・ドイルと、江戸川乱歩の本名、平井太郎からいただいたんだ 」

『 江戸川乱歩の本名……あ、昔新一から聞いたことあるかも 』

「 ああ、俺も言ったことある気がする 」




頭の片隅にあった、中学生の頃の記憶。



多分中学生のときに教えてもらったはずなんだよなー…





「 …お前ら仲いいんだな 」

『 まあそりゃ、幼稚園からの幼馴染だし 』

「 なんだよキッド。嫉妬か？ 」

「 …なっ、んなわけねーだろ！！

第一、お嬢さんに正体見抜かれたのはこれが初めてなんだぜ？なのにそんなわけ… 」

「 Aと話したのは初めてでも、Aはキッドの予告現場に何回も行ってんだから

オメーがAのこと見つけてたりしたら、あり得る話だろ 」

『 はは、ないない 』




だって快斗が好きなのは青子で、青子もきっと、快斗が好き。

両想いであろう2人の仲を引き裂くわけにはいかないんだよ、新一。

と、1人で勝手に沈んでいたそのとき、遠くから男の人の大きな怒鳴り声が聞こえてきた。




「 オラァ！邪魔だァ！どけェ！！ 」

『 ……なに？あの人たち… 』

「 真ん中にいるのは、中富禮次郎だな… 」

「 中富…ああ、中富海運社長の… 」

『 中富海運…あ、聞いたことある 』

「 ああ、やり手と評判だが、黒い噂が耐えない人物だ 」




中富海運は知ってたけど、まさかあそこの社長さんだとは。



……絶対訳ありだと思う。




「 ねえ彼女、シンガポールまで来て1人？よかったら俺と… 」

『 …！園子…！ 』

「 今、それどころじゃないの！あっち行って！ 」

「 ……へえ、そんなこと言っていいのかな？

その気になったらお前1人、車に連れ込むくらい簡単なんだぞ 」




そう言って園子をナンパした中富海運の社長。

ちょっと心配だけど、園子にはとんでもなく強い王子様がいるから安心していい……よね。




.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す