【男主】身長8cmの高校生を拾った件について【BL】

自己紹介 ページ5

side.kino





んじゃあ改めて、と1度咳払いする。




「俺は木野千馬。21歳、一人暮らし中のフリーターだ」
「きの......キノ、ね。わかった」
「千馬でいいのに」
「キノの方が呼びやすいから」



さて、この小人(?)のことは
なんて呼べばいいのか。

これから一緒に暮らすのに
名前が無いのは不便だ。

小人(?)が「僕のことは好きに呼んで」と
言っているけど、名付けるのって難しい。



「......うーん。とりま、それは置いといて、先にご飯食べるか？」



俺はもう食べたけど、
何も食べてなさそうな小人(?)は平気なのか。

聞いた感じだと
俺のポケットでずっと寝てたらしいし。

小人(?)は言うほどお腹が空いてないみたいで
用意させるくらいなら、と断る。



「あ。そういえばサイズ的に丁度よさそうなの持ってるわ、俺」
「？」



小人(?)が首を傾げる。


リュックをごそごそと漁り、
中から紙袋を取り出した。

テープを取って開き、
手のひらへ逆さまに向けると
ころんっと小瓶が出てきた。



パッケージには、
"宇宙一小さい金平糖"と書かれている。



中身は、1mmくらいの金平糖。
今日バイト先の先輩がお土産にくれたものだ。

本人曰く、面白そうだから買ったとかなんとか。



「俺甘いの苦手だし、大きさ丁度いいだろ？これあげる」



ぽんっと小瓶のコルクを取って、
小人(?)の前に置くとキラキラした目をして
小瓶を覗き込んでいた。


甘いもの好きっぽい。


小瓶の大きさは小人(?)の胸辺りまでだから
小人(?)は金平糖を1粒、自力で取り出していた。


"宇宙一小さい金平糖"は小人(?)的には
普通の金平糖サイズみたい。


ぱくっと口の中に入れて、
心底美味しそうに味わっていた。



「キノ、これ美味しい！」


屈託もなく微笑まれて、
元はただの砂糖なんだけどな...と苦笑いする。



「金平糖、好きなんだ？」
「うん。甘いの好き」



そう言ってもう1粒食べて、
また幸せそうな顔をしていた。


ふと、思いついた。



「......さとう」
「へ？」
「決めた。俺、君のことさとうって呼ぶ」
「さとう......？」



金平糖、もとは砂糖だし
名前の"佐藤"っぽくて呼びやすいし。


我ながら良い案だ。
さとうはぽかんとした顔をしていた。





「あ、嫌なら別のを_____」






「____ううん！さとうがいい。キノ、ありがとう」









名前も金平糖も気に入ってくれたようで、
さとうは最初とは人が違うみたいに笑顔だった。

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